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J2降格の名古屋、草刈り場の可能性も…「選手はお金に流される」

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試合後のセレモニーを終え場内を一周する名古屋グランパスの選手たち

[11.3 J1第2ステージ第17節 名古屋-湘南 パロ瑞穂]

 名古屋グランパスのクラブ史上初のJ2降格が決定した。“オリジナル10”1992年のJリーグ発足時に加盟した10クラブの中でJ2に降格したことがないクラブは、これで鹿島アントラーズと横浜F・マリノスの2クラブになってしまった。

 試合終了のホイッスルがなると、これまで数々の歓喜に包まれてきたパロマ瑞穂スタジアムは、これまで経験したことのない悲しみで覆われた。

 試合後のセレモニーではベテランGK楢崎正剛やMF小川佳純、主将MF田口泰士ら、名古屋を支えてきた主力選手たちが目頭を覆っていた。「ボスコさん(ジュロヴスキー監督)が来て、闘莉王が来て、ガラッとチームを変えてくれた。感謝していますけど、まだまだ足りなかった。最初からやっていた僕も含めて力不足だった。それしか言えない」と声を落としたのは楢崎。田口はセレモニーでも話したように、「この1年間、サポートしていただいたのにこのような結果になって申し訳ない」と会見場でも頭を下げた。

 Jリーグが7月に公表した15年度のチーム人件費は年間1位に輝いた浦和に次いで2位(※)。今季は5か月契約の闘莉王の年俸分などが減額となっているため、多少順位は下がるとみられるが、それでも高校や大学サッカー界で名を馳せた若手有望株が在籍しており、J屈指のビッグクラブであることに変わりはない。

 ただしJ2降格となれば話は別。営業収益や広告収入、そして入場料収入の大幅な減収が予想され、チーム予算額にも大きな影響を与えることになる。久米一正社長は「選手を残すことが一番重要」と説いたが、「他のチームからのオファーを蹴散らすくらいの熱い信念がないと、あっという間にいい選手は移籍してしまう。選手たちはお金が高いほうに流される」と警戒心を強めたように、最悪の場合、草刈り場と化す可能性も否定できない。

 この日の選手たちが去就について明言することはなかった。というよりも、選手たちは現実を受け止めきれない様子だった。小川が「個人的には今すぐは考えられない」と話せば、楢崎でさえも「全く今は考えられないというのが正直なところ。また落ち着いて、考えられるようになったら、考えたい」と口をつぐんだ。

※15年度のクラブ経営情報開示によると、1位は浦和の20億9900万円、2位の名古屋は20億8600万円、3位は鹿島の20億2300万円。
(取材・文 児玉幸洋)
●[J1]第2ステージ第17節 スコア速報

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