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[選手権予選]“ドリブル軍団”聖和学園が3連覇!エース大八木2発などで、粘る仙台商振り切る!:宮城

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[11.5 全国高校選手権宮城県予選決勝 仙台商高 3-4 聖和学園高 ユアスタ]

 第95回全国高校サッカー選手権宮城県予選が5日、宮城県仙台市のユアテックスタジアム仙台で行われ、3年連続優勝を目指す聖和学園高が、初の決勝進出で勝てばもちろん初優勝の仙台商高と対戦した。

 前半は3年連続決勝進出している聖和学園がペースを握った。仙台商のキャプテンMF梅津虎太郎(3年)が「聖和との経験の差を感じました。DFラインが下がってしまって、MFとFWは前から行ってしまって間のスペースをうまく使われてしまいました」と反省した通り、聖和学園の選手たちは相手陣内のギャップを突いて得意のドリブルでチャンスを作った。そして18分、聖和学園は左サイドのMF鈴木智久(3年)がDFラインとボランチのギャップのスペースをドリブル。パスを受けたトップ下のMF原科勇我(3年)がシュートを決め、先制した。さらに聖和学園は24分、FW大八木隆斗(3年)が鈴木智とワンツーを仕掛けてゴール前に抜け出し追加点。2点のリードを奪った。仙台商は32分右SH佐藤岬(3年)のクロスからFW武内涼真(3年)がゴールを決めたかに見えたが、これはオフサイド。前半は聖和学園が-0とリードして終えた。

 後半に入り、「リスクはあるけれど、DFラインを上げて攻撃的に自分たちのサッカーをやろうとハーフタイムに話しました」と梅津が語ったとおり、仙台商はDFラインを思い切って上げて決定機を作り出す。しかし、その隙を聖和学園はしたたかに突いていく。10分、相手陣内でボールを奪ったボランチのMF藤井僚哉(3年)がドリブルで左サイドから右サイドへ流れてミドルシュート。これが鮮やかに決まってリードを3点に広げた。

 しかし、ここから仙台商が粘りを見せ始めた。22分、ゴール前で仙台商が相手の守備に負けずにボールを繋ぎ、ボランチのMF渡邊一真(3年)のパスを受けたのはDFラインから上がってきたCB高橋一彰(3年)。高橋一が思い切って打ったシュートが決まって1点を返した。聖和学園は36分、左サイドでドリブル突破を仕掛けたボランチMF片岡潤也(3年)からパスを受けた大八木がゴール前に突進し、この日2点目となるゴールを決めて再び3点差に。それでも粘る仙台商は38分、相手陣内でPKのチャンスを得て、梅津がきっちり決めて2点差に。さらにアディショナルタイム突入後の42分、仙台商は武内が相手DFをかわしてGKとの1対1からループシュートを決めて1点差に詰め寄った。聖和学園は焦りも見せたが、残り時間を何とか仙台商の猛攻をしのいでこのまま試合終了。4-3で聖和学園が勝利し、3年連続4回目の優勝を決めた。

 聖和学園の加見成司監督は「自分たちで慌ててミスをした部分と、それを突いた仙商さんが勢いづいたので、ああなるとどっちに転ぶか分からないゲームになります。決勝は本当に難しいと思いました」と肝を冷やしたようだった。「良い流れじゃない中、藤井が決めてくれました。あのゴールと大八木のゴールが無ければ負けていました。そのくらい仙商さんに勢いがありました。勢いに対し、技術で対抗しなければいけないところをコントロールできなかったのはまだまだだと思いました」と相手の健闘を称え、技術でかわせなかったことを悔やんだ。それでもプリンスリーグ東北前半戦で全く勝てなかったチームで、6月中旬の東北高校サッカー選手権大会初優勝を機に少しずつ自信をつけ、選手権に照準を合わせることに成功した。「1年前、このチームが決勝の舞台に立って全国に行けるという想像は全くしていなかったので、彼らが努力して勝ち取ったことは評価したいです」と過去2年に比べ小粒な印象もあった選手たちの成長を称えた。

 一方、惜しくも準優勝に終わったが終盤怒濤の追い上げを見せた仙台商は観客席から惜しみない拍手を浴びた。「後半のスコアは3-2で上回りました。自分たちのサッカーが最後はできたので後悔無く終わることができて最高の決勝でした」と語る梅津は、敗れはしたが充実感あふれる顔つきだった。「これからの仙商にこの経験をつなげていきたいです」叶わなかった初優勝の夢は後輩たちへと託された。  

(取材・文 小林健志)
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