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[Jユースカップ]「タフで勝負強い」京都U-18に延長勝利のFC東京U-18が2冠王手

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[11.13 Jユースカップ準決勝 京都U-18 1-2 FC東京U-18 ベアスタ]

 11月13日、Jユースカップ第24回Jリーグユース選手権大会の準決勝2試合が佐賀県のベストアメニティスタジアムにて開催された。第1試合では京都サンガU-18とFC東京U-18が対戦。延長戦までもつれ込んだ激闘を2-1で制した夏のクラブユース選手権王者・FC東京が決勝戦へと駒を進めた。

 序盤、試合のペースを握っていたのは京都だった。テレビ中継もある準決勝という場が持つ独特の雰囲気の中で、これは「すごく上手く試合に入れた」と京都のU-16日本代表MF福岡慎平が振り返ったのに対し、「自分が試合前に言い過ぎた。みんな硬くなってしまっていて、20分くらいまでガチガチだった」とFC東京・佐藤一樹監督は渋い表情を浮かべたとおり。攻守がどうにも噛み合わない青赤軍団に対して、京都が優勢に試合を進める。13分には京都DF俣野亜以己のクロスにFW三田尻和哉が合わせる決定機も作った。

 ただ、FC東京も徐々に持ち直して試合は拮抗。21分にはFW半谷陽介がアイディアあふれる技巧的なシュートでGK頭上を狙うが、惜しくもクロスバー直撃。結局、前半はどっち付かずの内容で折り返しを迎えることになったが、より手ごたえを得ていたのは京都だった。森岡隆三監督の言葉を借りれば、「トレーニングどおりの前半」ということになる。そして後半7分、試合は動き出す。

 京都CB麻田将吾のパスを受けたMF財前淳がトップ下の位置からドリブルでトライ。相手を存分に引き付けてからの横パスを福岡が「ちょっとアウトに引っ掛けて」の強烈なミドルシュート。昇格内定のFC東京GK波多野豪もほとんど動けないスペシャルな一撃で、京都が先制点を奪い取った。これは「(U-16日本代表でボランチを組むFC東京の)『平川怜だけじゃないぞ』というところを見せたかった」という意地の一発でもあった。

 ここまでの京都は事前にイメージしたとおりの内容だったが、このゴールでむしろ京都の歯車が狂い始める。福岡も「点を取ってからもっと落ち着けば良かった」と唇を噛み、FC東京・佐藤監督も「点を取ったあとで受けてくれた」と振り返ったように、一方的にFC東京が押し込む試合展開になっていった。21分には左MF内田宅哉が得意のドリブルで左サイドを切り裂いて右MF小林真鷹がフリーで合わせる決定機を作り、24分にはライン裏を突いたFW松岡瑠夢が倒されてPKのチャンスを得る。松岡が自ら蹴ったシュートはGK遠近眞明にセーブされるも、完全にペースを握っていた。

 そして迎えた後半30分だった。中央でタメを作った松岡のパスから小林が抜け出して右足でクロス。「上げれば誰か入ってくるかな」(小林)という狙いでGKとDFの間を狙ったボールは絶妙な弾道を描いてGK遠近の頭上を越えてゴールネットを揺らす。少々幸運も味方に付ける同点ゴールとなった。

 こうなると京都は苦しく、FC東京の優位は明らかだった。それでも「粘り強くやれていたのは今年になった成長した部分」と守備リーダーの麻田が胸を張ったように、京都も懸命の防戦を見せて試合は延長戦までもつれ込む。だが粘りの守備もここで決壊。延長前半4分、半谷の技巧的なスルーパスから飛び出した小林が2点目のゴールとなるシュートを流し込んで、FC東京が逆転に成功した。

 それでも粘る京都は長身DF麻田も前線に上げながら1点を狙って攻め続ける。終了間際のCKでは混戦からのシュートラッシュのような展開にまで持ち込んだが、交代出場のFW服部航平が左足シュートで狙ったが、これはFC東京DF長谷川光基が値千金のヘディングブロック。技巧的なゴールで逆転を果たし、その後は最後まで体を張って守る姿勢を貫いたFC東京が、「本当にタフで勝負強い」(佐藤監督)京都を下して、決勝戦へと駒を進めた。

(取材・文 川端暁彦)
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