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「圭佑や真司が取るのではなく…」 長友が“素晴らしかった”と振り返る追加点

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約5か月ぶりに代表のピッチに立ったDF長友佑都(インテル)

[11.15 W杯アジア最終予選 日本2-1サウジアラビア 埼玉]

 久し振りに立った代表のピッチ。常にメンバーには招集されながらも負傷の影響もあり、今回の最終予選での出場がなかったDF長友佑都(インテル)は、グループ首位に立つサウジアラビアをホームに迎える大一番で先発復帰を果たした。

 今年6月に行われたキリン杯ボスニア・ヘルツェゴビナ戦以来、約5か月ぶりにA代表の試合に出場した長友だったが、自らの“居場所”ともいえる左SBの位置に入って上下動を繰り返す。「チームがうまくいかなかったり、負けた試合を外で見ていて、とにかく悔しかった。今までにないくらい自分の中で気持ちが入っていた」。しかし、無暗に攻撃参加することはない。前方に位置する左サイドハーフには、運動量豊富にピッチ上を駆け回るFW原口元気(ヘルタ・ベルリン)が入っており、長友はバランスを見ながら原口のサポート役に徹していた。

 いつもとは違う景色だった。FW本田圭佑(ミラン)、FW岡崎慎司(レスター・シティ)、MF香川真司(ドルトムント)と長友とともに長年A代表をけん引してきたメンバーはベンチスタート。代わってFW大迫勇也(ケルン)、原口、MF清武弘嗣(セビージャ)、FW久保裕也(ヤングボーイズ)が攻撃的なポジションを担っていた。

 しかし、前線で躍動する選手たちを後方から見た長友は確信していた。この試合に絶対に勝てると――。「厳しい試合になると思っていたけど、躍動している前の若い選手たちを見ていると、『今日は勝てるな』という感覚が自分の中にあった。こいつらとやっていれば大丈夫だ、この試合は絶対に勝てると思った」。その言葉どおり、試合には2-1で勝利。しかし、若い選手が躍動する中、常連メンバーも意地を見せていた。それが、本田、香川が途中出場されて迎えた後半35分に生まれた2点目のシーンだ。

 中盤でボールを受けた長友が左サイドに開いた本田に預ける。「圭佑とは長くプレーしていて、彼も僕自身を分かっているし、僕自身も彼を分かっている。あそこの崩しは阿吽の呼吸」。本田を信じて前線に駆け上がると、その動きを見逃さずにリターンパスが長友へと届けられる。左サイド深い位置から「最初に真司が見えたし、何人かがいるのが見えた」とグラウンダーのクロスを送ると、ニアサイドで香川が触れたボールを最後は中央の原口が蹴り込んで値千金の追加点が生まれた。

「僕、圭佑、真司が関わって、最後に元気が取るというのが素晴らしかったんじゃないかな。これが圭佑や真司が取るのではなく、僕たちが作って最後に元気が点を取るというのは、何か感慨ものがあるというか、素晴らしい攻撃だったと思う」

 世代交代の波が押し寄せる中、長年チームの主軸を担ってきたメンバーもしっかりと存在感を示した。長友は「自分たちがやっていることをしっかりやれば、僕は結果が出ると信じている。今日の内容は自分たちの自信になったと思う」とチームの成長に手応えを感じていた。

(取材・文 折戸岳彦)

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