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[選手権予選]得意のセットプレーから延長V弾!ルーテル学院が5年ぶりに熊本制覇!

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[11.20 全国高校選手権熊本県予選決勝 熊本国府高 1-2(延長)ルーテル学院 うまスタ]

 20日、第95回全国高校サッカー選手権熊本県予選の決勝戦が行われた。対峙したのは新人戦と夏の県総体2冠の熊本国府高と、準決勝で昨年度の選手権出場校・大津高をPK戦で撃破したルーテル学院高。両者は総体県予選準々決勝でも対戦しており、その際は熊本国府が3-0で勝利を収めた。しかし、今回はルーテル学院が延長戦の末に2-1で勝利し、5年ぶり4度目の選手権出場を決めた。

 試合は序盤から互いに縦に速い攻撃を仕掛け、主導権を奪い合う展開となった。しかし、決定機の数で上回ったのはルーテル学院。主将・CB島津玲斗(3年)のロングフィードと、多彩なセットプレーで相手ゴールへと迫った。前半23分には島津のパスに抜け出したMF東晃隆(3年)が好機を創出。直後の27分にも東が強烈なシュートを放ち、ルーテル学院は相手ゴールを脅かした。そして、迎えた後半開始早々の3分。右SB江崎巧朗(2年)がヘディングで前方にボールを送ると、174cmのFW永田紘基(3年)が183cmの熊本国府CB久野龍心(3年)に競り勝つ。ここから巧みに身体を反転させると、相手の間を外す絶妙なループシュートをネットに突き刺し、先制点を奪うことに成功した。

 しかし、熊本国府もここから反撃。左SBのレフティー・尾上りつき(3年)のクロスや、トップ下に入るMF坂本幸広(3年)のパスを起点に好機を作り始める。16分には尾上のクロスからFW高原悠太主将(3年)がシュート。これは決め切れなかったが、直後の17分、再び尾上が左足で中にボールを入れると、ファーサイドに走り込んだFW杉田達哉(3年)が頭で合わせて同点に追い付いた。

 その後は互いに体力を消耗したこともあり、オープンな展開に。そして、試合は延長戦へと突入したが、ルーテル学院は得意のセットプレーから勝機を掴む。「うちは武器が少ないチームですし、トーナメントになればセットプレーは大事」という小野秀二郎監督が説明するルーテル学院は延長前半6分にゴールから斜め45度の位置でFKを獲得。すると、島津、江崎、FW伊藤連(3年)、左SB徳永敦優(1年)が集まり、ボール付近で打ち合わせを開始。これで意思疎通を図ると、島津、伊藤がフェイクを入れて、徳永が横に走り出していた江崎にパスを送る。そして、江崎はゴール前に走り込んだ島津にダイレクトでボールを配球。これを受けた島津が左足を振り抜くと、DFに当たってコースが変わりながらもボールはニアサイドを破った。

 2-1で勝った試合後、ルーテル学院の小野監督は「今年に限っては小結が大関、横綱を倒した感じ」と冗談を交えながら喜びを表現した。今年のルーテル学院は新人戦、高校総体ともに県ベスト8止まり。結果を残せていなかったこともあり、試行錯誤を重ねながらのチーム作りが続いていた。特に最終ラインはビルドアップに不安を抱えていため、総体後には正ボランチを努めていたパス技術に長けた江崎と徳永をSBにコンバート。そして、今大会直前にはSHやSBを努めていた島津をCBに配置転換し、ギリギリまで最良の策を模索してきた。その結果、今大会では最終ラインを起点に攻撃を仕掛け、5試合で36得点を奪取。永田も「全体的に守備は良くなりましたし、DFラインからボールを持てるようになりました」とチームの成長に手応えを掴んでいた。

 また、今年は4月に熊本地震が発生したため、震災後2週間は活動停止を余儀なくされたこともチームに大きな影響を与えた。その期間中に選手たちは学校や自宅などの整理を手伝い、寮で生活をしていた者は地元で募金活動を実施。その支援活動から、「学校のお手伝いをさせてもらい、身近な生活面で回りの人が支えているのを見て、改めに感謝することが分かったように思う」と永田が語るように、不自由なくサッカーが出来る喜びを改めて学んだ。「色んな人、サッカーファミリーから手を差し伸べられて、一つ一つを覚えておいて感謝することが大事」と小野監督。様々な人の支援を受け、つかみ取った選手権出場。「感謝の気持ちと絶対に諦めない」気持ちを胸に、5年ぶりの大舞台で躍動することを誓う。

(取材・文 松尾祐希)
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