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「NIKE MOST WANTED」グローバルファイナルが閉幕…白川と西尾は惜しくも「NIKE ACADEMY」入りならず

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3日間、世界と互角以上にわたりあったMF白川恵士朗(左)とMF西尾翼(右)

 イングランドのセント・ジョージズ・パークで開催されているスカウトプロジェクト「NIKE MOST WANTED」グローバルファイナルが、28日に幕を閉じた。19か国から参加した33選手のうち、勝者となって「NIKE ACADEMY」入りを果たしたのは5選手。日本から参戦していたMF白川恵士朗(未所属)とMF西尾翼(東海大)は、惜しくも敗退となった。

 3日間開催されているグローバルファイナルの最終日、最後のアピールの場と成る「NIKE ACADEMY」との45分マッチへ向けて、選手は午前中から調整に入った。33選手がチームAとチームBに分かれて戦う選考試合、白川と西尾が属するチームBは、ミーティングでコーチからプレスのかけ方などのアドバイスを受けた。前日に行われたチームAとの紅白戦の映像を確認し、パトリック・イガーニコーチらから「翼はいい動きだった」などポジティブな言葉だ飛んだ。ジャパンファイナルにも訪れていたエドゥアルド・オリベイラコーチは「チームワークを続けること。1人1人が光るためにはチームワークが必要。ここまできたのは努力の結果だと思うから、楽しんでやること」と、大一番に向けてエールを送った。

 日が暮れ始めた頃、チームAとの45分マッチの直後にチームB対NIKE ACADEMYチームの一戦は幕を明けた。4-1-2-3のチームB、白川は右のウイング、西尾はインサイドハーフとして揃って先発入り。NIKE ACADEMYチームでは、MF波田野海(聖和学園高卒)もスタメンに入った。

 コーチ陣から「NIKE ACADEMYチームはスペースをくれない」とミーティングで指摘されたように、ボールはある程度回せるもののアタッキングサードからは自由を許してくれない。これまでの2日間では局面を打開するパスを出していた白川も「パスコースが見えなかった」と苦戦の理由を語った。25分には、左サイドへ飛び出した西尾のクロスをファーサイドの白川が合わせたが、枠を捉えることはできず。白川は29分にピッチを後にすると、代わって西尾が右のウイングに回った。白川交代の直後の30分に波田野が狭い中央のスペースをドリブルとワンツーを駆使して突破し、ゴールを挙げて均衡が破れた試合は、チームBが追いついて終了した。

 18時過ぎからは、参加した33選手1人1人が、NIKE ACADEMYのジョン・グッドマン監督が待つ部屋に呼ばれ、選考結果が伝えられていく。「今回は慎重に獲っている」と選考についてジョン・グッドマン監督は説明。白川と西尾の落選については、彼らが得意とする「10番」のポジションには、NIKE ACADEMYでの同じポジションにライバルがいるためと明かした。実際、勝者となった5選手の内訳は、FWが1選手、残りの4選手はDFだった。「対戦してみて、一緒にやってみたいと思った」。45分✕2本をフル出場し、1ゴールを記録した波田野も、2人の敗退を口惜しむ。

「ゴールへの意識が足りなかったんじゃないかなと。そこが何だかんだで一番重要だったと思います」と白川は自己分析する。「ボールを取ったらすごい。素晴らしい左足」とパトリック・イガーニコーチらスタッフにも確かなインパクトは残せていた。しかし、それと同時に「あれだけの才能があるんだから、全部ボールを取りたいくらい、もっとボールを目指していかないといけない」という不満もあった。「いい部分を出そうとした」。それはコンディションが万全ではない中での、白川なりのアピール方法だったという。

 現在、所属チームがない白川は今後について「練習する環境がなくなるので、どうしようかなという感じなんですけど……。おそらくサッカーは続けると思う」とコメント。テクニックについて絶賛するコーチ陣は、「ハングリー精神」と「チームのためにという精神」という2点を求め、次のレベルに上がることを期待した。

 グローバルファイナルでの3日間を振り返った西尾は、「全然やれるという感じはありましたけど、(NIKE ACADEMYの選手とは)何かの差があった。そこをもっと自分で考えたい」と真摯に選考結果を受け止める。結果に対する悔しさは当然ある中で、得難い経験をつかんだことへの感謝を連ねた。「嬉しかったのは、友達がたくさんできたことと、滅多にこういう機会でプレーできないので、新たな課題が見つかったことです。数え切れないくらい課題を与えてくれたことに感謝したいです。ディフェンス面は結構できていたと思うんですけど、攻撃のときにもっと恐いプレイヤーになれたら。相手が嫌だなというパスやドリブルができれば」と今後のサッカー人生に活かしていくことを誓う。

「チームプレイヤーだし、理解しようとする力もある」と言葉が通じない環境でも、努力を惜しまなかった点もコーチたちから評価されていた西尾。「大学で(試合に)出られていないので、そこの現状から変えていかなくちゃいけない。大学でまず出て、活躍しないとその道は開けない」。目標とするプロへ、まずは一歩ずつ前進していくつもりだ。

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(取材・文 奥山典幸)

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