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“点を取れないチーム”が大爆発!! 法政大、数的不利の高知大に6発圧勝

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9年ぶりのインカレで6発快勝の好スタートを切った法政大

[12.7 大学選手権1回戦 法政大6-0高知大 江戸川陸]

 第65回全日本大学サッカー選手権大会1回戦が7日に各地で行われ、江戸川区陸上競技場では、9年ぶり28回目の出場となった法政大(関東5)と23年連続32回目の出場の高知大(四国)が対戦した。前半16分に数的優位に立った法政大が前半に2点を先行すると、後半も攻撃の手を緩めることなく4点を加点して6-0の圧勝。大阪体育大学(関西3)が待つ2回戦へと駒を進めた。

 序盤から高知大が勢いを持ってゴールに迫るが、一つのプレーが試合の流れを大きく変える。前半16分、後方から送られたボールで抜け出した法政大FWディサロ燦シルヴァーノ(2年=三菱養和SCユース)が、PA内でDF山下裕司(2年=作陽高)のファウルを誘ってPKを獲得すると、山下にはレッドカードが提示されて一発退場。数的優位に立った法政大は、このPKをDF柳沢拓希(4年=前橋育英高)がきっちり沈めて先制に成功した。

「数的優位になったから勝てるわけではない」と振り返った法政大の長山一也監督は、「その後、次の得点、次の得点と連続得点を狙ってプレーしてくれたのが良かった」と勝因を挙げる。その言葉どおり、前半35分にはディサロの鮮やかなパスから右サイドでフリーになったMF武藤友樹(3年=八千代高)が前線まで運び、右足のシュートでネットを揺らしてリードを2点差に広げた。

 一方、渡辺の退場でMF下園直輝(3年=東海大五高)に代えてDF芳川隼登(3年=鵬翔高)を投入した高知大も、防戦一方になるわけではない。中盤の底に構えるMF藤井勇大(4年=三田祥雲館高)とMF後藤寛太(4年=市立西宮高)のコンビが的確に散らし、左サイドのMF元田龍矢(4年=瀬戸内高)が切れ味鋭い突破で好機を生み出そうとする。前半40分にはDF西埜植颯斗(3年=近大和歌山高)が蹴り出したCKの流れから、FW勝田一秀(3年=C大阪U-18)が狙うもゴールネットを揺らすには至らなかった。

 2-0と法政大がリードしたまま後半を迎えると、後半6分に武藤のスルーパスから右サイドを駆け上がったFW青柳燎汰(2年=前橋育英高)の絶妙な浮き球のパスを、FW鈴木歩(4年=鹿島ユース)が豪快なダイビングヘッドで合わせて、法政大が3点目。同16分には高知大がゴールを脅かすが、藤井のスルーパスから勝田が放ったシュートは惜しくも枠を捉え切れなかった。

 後半27分には法政大ベンチが動き、青柳に代えて、8月に手術を行い、関東リーグ後期で出場のなかったJ1仙台入りが決まっているDF永戸勝也(4年=八千代高)をピッチへと送り込む。すると直後の同29分、左サイドを突破した永戸のグラウンダーのクロスの流れから最後はMF黒崎隼人(2年=栃木ユース)がゴールを陥れ、同33分には再び永戸のラストパスを今度はディサロが決めてリードは5点差に。さらに後半アディショナルタイムにはMF長倉颯(2年=横浜FMユース)のシュートのこぼれ球をFW高田一輝(4年=川崎U-18)が押し込み、法政大が6-0の完封勝利を収めた。

 数的優位に立ったこともあったが、9年ぶりのインカレ初戦で6発大勝。長山監督は「点を取れないチームと言われていた部分もあった」とリーグ戦の出来を振り返りつつも、「後ろの4年生が体を張って失点を防ぎつつ、後期リーグ終盤から(ともに2年生の)ディサロや青柳らの迫力が増してきて、攻守のバランスが良くなってきたと思う」とチームの成長に目を細める。

 そして、負傷から復帰して2ゴールに絡んだ永戸の出来も称賛。「彼はJ1に内定していますが、やはりちょっと違う」と褒め称えると、同じく負傷から復帰してベンチ入りした主将の黒柳駿(4年=浜松開誠館高)の名前も挙げ、「彼らのような選手がサブにいるのはチームとしても大きい。ビハインドの状況でも何かやってくれるし、流れを変えてくれると思うので、とても頼もしい」と選手層の充実に手応えを感じている。

 10日に行われる2回戦で対戦するのは大体大。「力があり、迫力があるチームだと聞いている」と警戒を示しつつも、「臆することなく、自分たちのサッカーができれば良い勝負ができると思う」と胸を張って答えた。

(取材・文 折戸岳彦)

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