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4年連続無得点で初戦敗退、環太平洋大MF福田主将「全国で1点を取ることは…」

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涙する環太平洋大の福田主将

[12.7 全日本大学選手権1回戦 静岡産業大 3-0 IPU・環太平洋大 味フィ西]

 まくり上げたユニフォームで拭っても拭っても涙は止まらない。IPU・環太平洋大(中国)のMF福田雅斗主将(4年=倉敷翠松高)はスタンドの仲間へ挨拶しながら、幾度も目元を押さえていた。試合後には、涙で晴らした目で「全国で1点を取ることは、本当に簡単なようで難しいと感じます……」と唇を噛んだ。

 今回が環太平洋大にとって、4年連続4度目の全日本大学選手権(インカレ)出場だった。福田が1年生だった3年前の初出場時は、1回戦で筑波大に0-3の敗戦。2年前は1回戦で関西学院大にやはり0-3で敗れた。そして昨季は大阪体育大に0-2の敗戦。いずれの大会もゴールネットを揺らすことができず、大会を去ってきた。

 1年生のときからインカレを経験してきた世代が最終学年となり、迎えた今大会。1回戦の相手は東海王者の静岡産業大。「全員でまずは1点を取ろうと話していました」と言う。立ち上がりから押し込み、前半は自陣内でプレーする時間がほとんどだった。しかし決定力を欠き、あと一歩のところで決めきれず。0-0で前半を終えた。

 迎えた後半。前半の流れを活かしたかったが、攻め急ぐ気持ちが裏目に出た。前がかりになった隙を突かれ、後半24分に先制されると、同35分、同42分にも失点。終わってみれば0-3の零封負け。途中出場のFW柴本慎也(3年=興國高)やFW伊藤鐘太(1年=関西大北陽高)がゴールを目指すも、1点が遠かった。

 試合後、福田主将は「今までインカレで1回戦突破ができていなくて、今年こそはと挑みました。自分たちのサッカーが出来なかったわけではないので、そこは自信を持っていいと思いますけど、やっぱり決めきれないところ、対人で勝ちきれないところ、そういう部分の勝負強さが必要だとすごく感じました」と振り返る。

 静岡産業大の成嶋徹監督が「IPUが前へ出てきてくれたおかげでやりやすくなった。そこを突いてのカウンターで得点を重ねることができた」と語るように、1点を追う懸命な姿勢は逆に複数失点を呼び込んだ。

 それでも福田は「1点を取られて何とかしようと、前に前に前がかりになった結果、失点が重なってしまった感じです。でもトーナメントなので点を取りにいかないといけないから、仕方ない部分はあります」と複数失点での敗戦を受け入れる。自分たちを信じて挑戦した結果。想いは実らなかったが、そこには勝利を目指して戦いきった清々しさがあった。

 “四度目の正直”とはいかず。またも環太平洋大のインカレ初得点、初勝利はお預けとなった。主将は「1年生から4年生まで仲が良く、何でも言い合えるチーム。全体でコミュニケーションが取れるチームでした。今回の経験を生かして、来年こそはまず全国の舞台で得点をできるように頑張って欲しい」と後輩たちへエールを送った。

(取材・文 片岡涼)
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