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東京五輪世代の逸材、順天堂大FW旗手は不発。現状から「一つ二つ上に」行くための課題

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東京五輪世代の注目プレーヤー、順天堂大FW旗手怜央

[12.10 全日本大学選手権(インカレ)2回戦 順天堂大 2-1 慶應義塾大 味フィ西]

 一部スカウト陣から「(可能ならば)早くプロへ行った方がいいのでは?」という声があるのは事実。本人も「東京オリンピックがあるし、(同世代で)プロの世界でもう活躍している選手もいる」とはやる気持ちがあることを認めているが、順天堂大の注目FW旗手怜央(1年=静岡学園高)はそれ以上に今は大学サッカーのステージでやるべきことがあると感じている。

 夏の総理大臣杯では4戦連発でチームの20年ぶりとなる決勝進出(準優勝)に貢献。静岡学園高3年時に全国高校サッカー選手権出場を逃しているにもかかわらず、今年は日本高校選抜の欧州遠征メンバー入りを果たし、第54回デュッセルドルフ国際ユースサッカー大会ではトッテナム戦やPSV戦などでゴールを決めて同大会のベストストライカーに選出されている。強さとスピードを活かした野性味溢れる突破と決定力、そして運動量も兼備。97年生まれのFWは注目度を高めている東京五輪世代の逸材だ。

 その旗手のインカレ初戦は無得点に終わった。前線からバイタルエリアへ降りてきては柔らかいタッチでピタリとボールを止め、前へ向いてシュートへ持ち込もうとする。前半から印象的なプレーを見せていたが、相手DFが距離を取って守るなど警戒されたことで打開力十分のドリブルは不発。PA付近で前を向くシーンもあったが、相手CB豊川功治(4年=千葉U-18)に幾度か止められ、ゴール至近距離からの決定的なシュートをGKにセーブされるなど不完全燃焼の試合となった。

「(初戦で)硬い部分もあったんですけど、マークされる部分も分かっていたので、やっぱり人を上手く使いながら点を決められなかったのは悔しかったです。相手も守備上手かったので、そういう部分の駆け引きで負けている部分があったので、駆け引きでも勝てるようにならないといけないと改めて思いました」。加えて、絶対に失わないようなドリブル、オフ・ザ・ボールの動きの質を身に着けなければならない。「やっぱり、もっとそこを良くしないと、一つ二つ上に行けないのかなと思います」と課題改善を口にしていた。
 
 待望する声もある年代別日本代表入りは未だかなわず。またJクラブに特別指定されるようになるためには、大学サッカーで突き抜けるほどのプレーをする必要がある。全国大会で誰もが認めるような結果を残すことも重要。「もっとインパクト残してやれば、声はかかると思うので頑張りたい」。目標とする東京五輪へ向けて、自身の可能性を広げるためにも今大会で1試合でも多くの試合を戦い、ゴールを決める。

(取材・文 吉田太郎)
●第65回全日本大学選手権(インカレ)特集

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