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[MOM416]日本体育大FW太田修介(3年)_“全国男”1トップ起用に応えた鈴木監督の秘蔵っ子

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日体大の先制点を決めたFW太田修介(3年=甲府U-18)

[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.10 全日本大学選手権2回戦 静産大0-2日体大 大和]

 大学に入って初めての1トップ起用だったという。日本体育大(関東3)のFW太田修介(3年=甲府U-18)は前半32分、右サイドから上がったアーリークロスに反応。右足で飛び込んでゴールネットを揺らした。相手に当たってゴールに入ったことで、「オウンゴールだよ」と周囲にからかわれていたが、「自分のゴールです」と胸を張った。

「全国男?みんなに言われます」

 太田は全国の舞台を楽しんでいる。太田が入学した2年前、日体大は2部リーグを戦っていた。当初は太田も試合に出場することが出来ず、1年生のシーズンは2部リーグを7位で終えた。だが翌年から同校OBである鈴木政一監督が復帰すると、チームは復活。「自分が1年生の時は2部でも全然勝ててなくて、全国を戦うなんて全く想像しなかった」チームが2部リーグで優勝し、1部復帰を決めると、今夏は15年ぶりに総理大臣杯に出場。太田自身は1回戦の大阪学院大戦でハットトリックの活躍をみせて、大舞台での強さを発揮していた。

 鈴木監督への感謝の思いは強い。1年時は試合に出してもらえず腐りそうにもなったが、鈴木監督が就任してからは、起用されることが多くなった。今季リーグ戦では2得点にとどまり、「チームに貢献できていない」と悩んだ時期もあったが、そんな悩める秘蔵っ子に鈴木監督は優しく手を差し伸べた。インカレ2週間ほど前、突然鈴木監督は初めて太田を監督室に呼び出してアドバイスを送ったのだ。「岡崎(慎司)選手みたいになってほしい」と、動き出しの部分やパサーへのサポートなど、自身のプレーについて細かくアドバイスしてくれたという。

 話し合いを行ったことで、「自分の中で吹っ切れた部分があった」。この日の試合で日体大は静岡産業大対策として4-1-4-1のシステムを採用。そのキーマンの一人であった1トップの太田は、鈴木監督の期待に見事に応えてみせた。

「内容とかはどうでもよくて、とにかく日本一になりたい。大臣杯が3位だったのですごい悔しい思いをした。でも大臣杯までは日本一ってどこにあんのかなって思っていたが、大臣杯で結果が出て、あと少しなんだなって思えた。そこからより日本一への思いが強くなりました」

 次なる相手は昨年度の覇者の関西学院大(関西2)。今大会初戦では同じ関東1部の専修大に5-0と大勝するなど、実力を余すところなく見せつけている。しかし今の太田に迷いはない。「関学戦はすごい楽しみ。関西のチームはなかなかできないですし、去年優勝しているので叩きたいですね」。35年前の覇者。当時を知るはずもない選手たちの力で古豪が復活を遂げようとしている。

(取材・文 児玉幸洋)

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