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[MOM420]阪南大DF甲斐健太郎(4年)_すでに始まっているJリーガーとしての戦い、“ライバル”からまず1勝

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阪南大のCB甲斐健太郎(奥)は決勝点を決めるなど攻守両面で活躍

[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.10 全日本大学選手権(インカレ)2回戦 仙台大 1-2 阪南大 味フィ西]

 “ライバル”からの1勝。それも自身の決勝ゴールによって決着をつけた。阪南大のCB甲斐健太郎(4年=立正大淞南高、岐阜内定)は後半36分に右CKをファーサイドから頭でゴールへ突き刺して決勝点。チームメートが一斉に自分の祝福に来ると思っていた背番号5は、数人がCKキッカーの下へ駆け寄ったことに意外そうな表情。その選手たちに「来いよ」と叫びながら走っていたCBはすぐに自分の下に駆けつけた選手、そして遅ればせながら走り寄って選手たちとそれぞれ自らの千金弾を喜び合った。

「前半から決めれそうな感じはありました。今年に関しては大事なところで決めている感があるんです」という甲斐のDFの頭上から打ち込んだ強烈ヘッド。CBながら今季関西学生リーグ1部で7得点を叩き出している注目DFが全国初戦でその得点力を再び発揮した。

 ゴール数が増えた理由は強豪チームの主軸としての苦悩、責任感から生まれたものだ。昨年から主力の多くを残す阪南大だが、エースFW前田央樹の離脱や主軸の不調もあって前期は「めちゃくちゃしんどかったですよ」(甲斐)という時期があったという。その中で甲斐は自身についても見直したという。その中であった“気づき”。「気づいたんですよ。前田が怪我してそこから前期なかなか点入らなくて。(その中で芽生えたのは)『オレが取らなくていけない』という自覚、責任。オレが点取って守れば勝てると」。その後、2試合連続ゴールなど「決めて」「守った」甲斐の活躍によってチームは苦しい前期を首位ターン。下級生時から主力を務め、Jクラブの誘いを受けていた甲斐自身にとってもさらなる成長を遂げる時期となった。

 その甲斐はこの日、決勝点に加えて守備面でも安定感が際立った。相手のロングボールを確実に頭で跳ね返し、縦へのボールをほぼシャットアウト。攻守における活躍で“ライバル”からの勝利を果たした。“ライバル”とは来年からJ2金沢入りする仙台大CB榎本滉大(4年=共愛学園高)のこと。「相手の4番の榎本君も一緒やと思うんですけど、僕も、榎本君もCBで、J2決まっていて。絶対に意識しているんですよ。握手の時とか、『絶対にコイツ、オレのこと意識している』とか分かるじゃないですか。オレも『ライバル』として意識しているし、とりあえず負けられなかったですね。今後も含みで」。プロの世界に入れば、そこからは日々生き残りを懸けた戦いになる。特に同じポジションの選手には絶対に負ける訳にいかない。その思いもあって甲斐は榎本を意識。勝利できたことを素直に喜んでいた。

 榎本とはプロの世界で再び勝負することになるだろうが、まずは1勝。今後も目の前の“ライバル”を一人ひとり打ち破っていくつもりだ。今大会でも目の前のCBや相手選手たちを上回っていくこと。Jリーガーとしての甲斐の戦いはすでに始まっている。
 
(取材・文 吉田太郎)
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