beacon

[MOM423]筑波大MF三笘薫(1年)_大ブレイクへのきっかけとなるか?“超大学級”の長所活かして先制点!

このエントリーをはてなブックマークに追加

後半37分、筑波大はMF三笘薫が先制ゴール

[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.12 全日本大学選手権(インカレ)準々決勝 筑波大 2-1 関西大 浦安市運動公園陸上競技場]

 大学レベルを超えた長所を結果に結びつけた。0-0の後半37分、筑波大は中盤中央でDFと入れ替わったMF三笘薫(1年=川崎F U-18)が持ち上がりながら左前方のスペースへパス。PAへ切れ込んだFW中野誠也(3年=磐田U-18)が中央へラストパスを送ると、走り込んだ三笘が左足でゴールへ流し込んだ。

「結果出していなかったので。監督からも言われていましたし、ここで決めないとダメだと思ったので、勢いづけられて良かったと思います。途中出場で相手も疲れていたのでドリブルで仕掛けられたら行けるという感覚があったので、積極的に仕掛けていこうと思っていました」

 左MFとして先発した松村遼(3年=國學院久我山高)が相手DFの体力を削ってくれていたことも大きかった。その中で後半25分から出場した三笘はサイドでの軽やかなボールタッチと身のこなしでDFを抜き去っていく。局面での淡白なプレーでボールを失ったり、小井土正亮監督が指摘する連続性を欠いたプレーが出ていたことも確か。だが、G大阪などでコーチを務めていた経歴を持つ指揮官が「(まだまだ表現できていないもどかしさがあるが)僕が見ていても本当に巧いなと思う部分だったり、誰にもできないプレー、Jリーグに行ってもおかしくないようなプレーをする時もある。もちろん足りない部分もある。(だが)ボール持たせたらもう、彼しかないものがあると思う。もう一皮剥けて欲しい選手」と絶賛するタレントはその攻撃センス、突破力を発揮して値千金のゴールをもたらした。

 自ら関西大の中央の守りを破り、捌いた後にゴール前まで走り込んで神戸内定のGK前川黛也(4年=広島皆実高)から冷静にシュートを決めた得点シーンはまさに圧巻のプレーだった。川崎F U-18に所属していた高校3年時はトップチーム昇格の打診もあった逸材。それでも「まだまだプロで通用しないと分かっていたので、自分を見つめ直して、もう一回プロに挑戦できたらいいと。大学で化けられたらと思っていました」という理由で筑波大へ進学したMFは、今のところ思うような成長や、結果を残すことができていないのだという。

 高校時代よりも身体が一回り大きくなり、スピードも増した。だが「まだ大学レベルかなと。結果出していないと思っていますし、ゴールがないですし、前の選手としてはゴールが一番なのでもっと追求していかないといけない。スタメンも取っていないですし、1試合1ゴールくらい決めていかないといけない。シュートも下手ですし、突破と言ってもまだまだ一人くらいしか抜けていないので、個の部分で足りないかなと思っています。まだまだですね」

 プロで活躍するためにこだわっているゴールの部分も守備の部分もまだまだレベルアップ、成長速度を加速させることが必要。そして、東京五輪世代の一人として年代別日本代表にも食い込んで行かなければならないという思いがある。「もちろんU-19代表もアジア制覇して結構力つけている中で大学の選手として代表に絡めるようなプレーヤーになっていかないと常々思っているので、もっと成長のスピードを上げていかないといけないと思っています」。自身に課しているノルマをひとつずつクリアしていくこと。注目MFはよりゴールを求め、結果を追求していく意気込みだ。この日のゴールはそのきっかけになるか。準決勝でも期待に応える活躍をして、大ブレイクへの歩みを加速する。

(取材・文 吉田太郎)
●第65回全日本大学選手権(インカレ)特集

TOP