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[プレミアリーグEAST]PK与えて優勝逃した1年前の無念晴らす!青森山田MF住永主将が仲間の分も走り、仲間とともに頂点へ

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優勝を決め、雄叫びを上げるMF住永翔主将と青森山田高イレブン

[12.11 高円宮杯プレミアリーグEAST第18節 FC東京U-18 0-1 青森山田高 FC東京小平グラウンド]

 初優勝を迎えるまでの後半アディショナルタイム、不思議と「早く終われ」という気持ちにはならなかったのだという。青森山田高は首位で迎えた最終節で勝ち点1差の2位・FC東京U-18を1-0で下して初優勝。11年の発足から6年目となるプレミアリーグEASTを“北の名門”が見事に制した。

 昨年、第17節に行われた2位・鹿島ユースとの直接対決を0-1で落として首位を明け渡した青森山田は、続く最終節でFC東京U-18に2-1で競り勝ったものの、鹿島ユースと勝ち点1差の2位に終わっていた。「去年は最後の最後で負けて、FC東京に勝ったんですけれど、最後プレミアを笑って終われなかった」とGK廣末陸(3年)は振り返る。

 昨年のような経験はもう、したくない。その思いで戦った青森山田は我慢強い守りで0-0のまま試合を進めると、後半36分にエースMF高橋壱晟(3年)がPKを決めて先制。引き分けでも優勝の決まる状況であることは知っていた。だが、青森山田の選手たちは勝ち切ることに集中。逆転を狙って攻めてくる相手を完璧に封じ込んでいた。頂点へ近づく数分間。この日、中盤中央からサイドのスペースまで幅広くカバーし、走り続けたMF住永翔主将(3年)はその数分間について「(最後)楽しもうという感じでした」と振り返る。FC東京U-18は隙を見せれば2分で2点取ってしまうような強敵。だが、“苦しい”と感じることなく、最後まで“楽しみながら”走りきった青森山田の選手たちは1点を守り抜き、今年は笑ってプレミアリーグEASTの戦いを終えた。

 奮闘光った住永は「最後味方も凄いキツイ時に走って、味方の分も守るかが一番の大事なところだったと思うので、最後の最後までしっかり走りきれたところが良かったんじゃないかなと思います」と胸を張る。4-5-1システムのアンカーを務める住永は青森山田の“心臓”。攻撃ではボールを受けて捌いて攻撃を組み立て、守備では味方のバランスを整えながら、献身的に動き回って味方の“ゴールを隠し”、相手の攻撃を遅らせ、ボールを奪い取る。

「自分がまずやらないといけないことが目の前にあるので、CBを楽にさせるプレーをすることが大事。自分がしっかり守備できて相手をストップすれば、周りの選手も伸び伸びとプレーできると思った。特に前半は相手にボールを持たれることが多くて、サイドを攻略されることが多かった。自分がサイドに出される前にカットしてやろうと思いました。何十本も仕掛けられているうちに一本は絶対に必ずどこかでやられそうな気がしていたので、何が何でもサイドに行くボールをまず阻止しようと考えましたし、あとSBのポジショニングも気にかけて声かけたり、1対1の間合いだったり、SHの守備を怠らないように声をかけていました」

 “決勝戦”のような一戦で今度は負けたくなかった。「去年の鹿島戦では自分がPK与えてしまって負けてしまったので凄く悔しい気持ちもありました。(最終節の)FC東京戦はPKのこともあって出れなくて、最後の最後でチームに迷惑かけたなと思っていたので。今回のFC東京のアウェー戦は自分の中でも絶対に負けられないところがありました。去年、あと一歩のところで悔し涙だった。今年は何が何でもというところで、シチュエーションとしても最後の最後首位対決できるなんてこともよっぽどのことがない限りないので、何かの縁かなと思います」。

 チームリーダーとなった今季、勝つために、「細部にこだわる」ことを徹底させてきた。「これで負けたというような感じでいつも負けているよりは『なんかやっぱり勝てないんだよな』と言う感じで負けていることが多いので、青森山田は。まず細かいところまでしっかりやらないといけない。『細部にこだわる』と監督が良く言いますけれど、当たり前のことを当たり前にできる。『簡単なミスをしているようでは絶対優勝という言葉は口にしたらいけない』と常に言われていましたし。一本パスの重みだったり、一本のミスの重みっていうのを凄い感じながらトレーニングできていた」。

 今回のFC東京戦ではそのこだわってきた部分を住永は身をもって表現し、チーム全体が90分間継続。「いつ点取られるか分からないという場面も多くありましたけれど、身体投げ出して、身体張ってゴール守れたのは自信に繋がったと思う」。迷惑をかけた分を絶対に取り戻して、チームを優勝させる。その思いを持って仲間の分も走り続け、仲間とともに「細部にこだわる」チームをつくり上げた主将の貢献度は誰よりも大きかった。

(取材・文 吉田太郎)
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