beacon

コウチーニョ不在のリバプール、改めて地力が試される時!プレミア優勝への正念場

このエントリーをはてなブックマークに追加

負傷離脱中のコウチーニョ

 11月下旬、プレミアリーグ第13節のサンダーランド戦で、右足を負傷したリバプールのMFコウチーニョ。チームの攻撃の要の離脱はリバプールにとって大きな痛手となったことは間違いない。

 コウチーニョのサンダーランド戦での負傷は、彼が浮かべた激しい苦痛の表情から比べればそこまで深刻ではなかった。実際にそれがレントゲン検査によって明らかになり、リバプールの首脳陣はケガの状態を知って安堵したことだろう。

 デイビッド・モイーズ監督率いるサンダーランドとの試合が前半の30分を経過した時、コウチーニョはディディエ・エンドングとの接触プレーで負傷してピッチに倒れ込み、潤んだ目で苦しみながら右足に手を添えて寝転んだ。

 負傷の瞬間の写真は決して美しいものではなかった。アンフィールドのピッチからベルト付きのストレッチャーで運び出され、応急処置エリアの芝生に横たわるコウチーニョの写真は悲壮感さえ漂っていた。

 しかし、コウチーニョは幸いにも長期離脱を免れ、手術の必要もなく離脱は6週間ほどと見られる。年内に行われる12月31日のマンチェスター・シティ戦に間に合わせるようリハビリを進めているという話もある。

 リバプールはコウチーニョ不在で果たして優勝争いを継続できるだろうか。ユルゲン・クロップ監督は、現在の状況を次のようにまとめている。

「コウチーニョは素晴らしいプレーヤーだ。それが数日であれ数週間であれ、もし彼を起用できなければ世界中のチームがその影響を感じるだろうね。そんな状況だよ」

「何についても言い訳はしない。コウチーニョがどんなに素晴らしい選手でも、一人でゲームを決めることはできないんだ。彼の場合、ボールを持って、少しドリブルをして、良いシュートを打てばゴールになってしまうから、時々そのように見えてしまうけどね。でも、その後は全員でディフェンスをしなくてはいけない」

「私達が作り上げてきたチームの中で、コウチーニョが重要な部分を担っていることは間違いない。でももちろん、私たちは今回の状況にもうまく取り組んで対処することができる」

 今シーズンのリバプールが見せる勢いの核となっているのは、チームが一丸となって見せる強さである。コウチーニョがクラブの主役の一人である一方、レッズには相手に脅威を与えることのできる選手が他にもいることを考えれば、彼に過剰に依存しているわけでもない。

 コウチーニョが今シーズンの全コンペティションで決めたゴール数は6で、これは離脱時点でロベルト・フィルミーノサディオ・マネと同数となる。ジェームズ・ミルナーは5ゴール、ダニエル・スターリッジは4ゴールである。また、アダム・ララーナとディボック・オリジはそれぞれ3ゴールを決めている。リバプールは今シーズンのリーグ戦で11人の異なる選手がゴールを決めており、アシストは10人の選手がマークしている。リバプールの火力はピッチ全体に広がっており、すべてのコンペティションでの成功に向けてチームは一つになっている。

 コウチーニョの負傷は確かに不運な事態だが、先発11人の当落上にいる選手にとっては、「やっと巡ってきたチャンス」とも言える。実際にコウチーニョに交代してピッチに登場したオリジはサンダーランド守備陣を打ち破って2-0の勝利に貢献し、先発出場に向けてアピールすることに成功した。

 現在、ふくらはぎの張りによって離脱しているスタリッジも、早くチームに戻り結果を残したくてウズウズしているだろう。

 コウチーニョ不在となった後、プレミアリーグ第14節ではボーンマス相手に3-4で敗れた。その次のウエスト・ハム戦では2-2のドローに終わっている。勝ち点の取りこぼしをしたことでリバプールが優勝争いから一歩後退したように思えるが、実際に2試合で見せた問題は守勢時の対応など、守備的な面であって、コウチーニョ不在で攻撃力が目に見えて低下したというわけではない。実際、第16節のミドルスブラ戦では3-0と快勝を収めている。

 コウチーニョを失った事実はダメージとして少なくないが、リバプールの選手たちが要所で見せる輝きを過小評価してはいけないのである。

 ただもちろん、サディオ・マネが1月のアフリカ・ネイションズカップ2017出場によって不在になる可能性もあり、コウチーニョの復帰が遅くなるほど選手層の不安は肥大することになる。

 もしリバプールが、移籍市場で即戦力となるような有望な若手を一人でも獲得できれば、チームの野心を結束させる助けになるだろう。ただし、長期的な編成に着手することを考えれば、リバプールはこの冬にパニックになって大型補強をすべきではないし、しないだろう。彼らにその必要はないのだ。

 クロップ監督はチームがコウチーニョ抜きでもポジティブに進み続けることに、あくまで前向きだ。彼らの目的はシンプルで、そしてクリアーなものだ。

「私たちは言い訳を探したりはしない。ただ、パフォーマンスを引き出して、フットボールをプレーしたいだけさ」

 リバプールは確かに、コウチーニョ不在の今が踏ん張り時だろう。それでも、彼らが見せる自信満々のショーは、これからも継続するに違いない。

著者名:メリッサ・レディ/Melissa Reddy

●プレミアリーグ2016-17特集
世界のサッカー情報はgoal.com

TOP