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[MOM1976]米子北MF倉本峻汰(3年)_スタンドで声を張る仲間たちにチャンスを与えるために。スーパーサブが値千金決勝弾!!

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後半44分、米子北高はMF倉本峻汰が決勝点

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.18 高円宮杯プレミアリーグ参入戦2回戦 米子北高 1-0 札幌U-18 コカ・コーラウエスト広島スタジアム]

 高円宮杯プレミアリーグ参入戦。勝てばプレミア参入が決まる。後輩たちに置き土産を残したい。米子北高にはそんな当然のモチベーションに加えて、もう一つの“加熱材料”が加えられていた。途中出場でピッチに立ったMF倉本峻汰も「スタンドで見守る仲間たちにもう一度チャンスを与えたい」という気持ちを持っていた。

 少し説明が必要だろう。高円宮杯のリーグ戦はAチームに加えてBチーム以下も参入できるという特色がある。米子北もBチームを鳥取県のリーグに送り込み、ここで戦っていた。“わかとりリーグ”と呼ばれるこのリーグで米子北Bは鳥取U-18など県内の強豪を抑えて2位でフィニッシュしていた。

 県2位のチームにはプリンスリーグ中国参入戦へ臨むことができるのだが、そのプリンスリーグ中国には現在米子北のAチームがおり、このままなら参入資格がない。参入戦にBチームが出場する条件は、Aチームがプレミアリーグへと上がること。それがかなえば、「もう一度、Bチームの選手たちが(公式戦を)戦うチャンスが生まれる」(城市徳之総監督)という構図だ。これこそ彼らがプレミア参入戦で胸に秘める加熱材料だった。

 それを懸けての大一番は0-0で推移。城市総監督が「スーパーサブ」と認める倉本に声を掛けたのは後半17分のこと。サイドからの切り崩しもできる選手だが、何よりゴールを求めての起用だった。投入に際しては「シュートのことしか言ってない」と城市総監督が言えば、倉本も「点を取ろうと思って入った」と振り返る。

 そして迎えた後半終了間際の44分だった。右SBの田中宏旺のクロスボールに対して倉本がダイレクトボレー。「いいところに来たので、迷わずそのまま振り抜きました」というキックはしっかりとボールを捉え、鮮やかにゴールネットを揺らした。

「ゴールは良かったけれど、他のプレーは全然ダメだった」と振り返るように、投入からゴールまでは今ひとつ機能していなかった。ただ、それでも迷わず愚直にゴールを狙い続けたのは、「力の源になっていた」という仲間たちへの思い。倉本の決勝点はAチームをプレミアリーグへ導くと共に、メンバー入りできなかった選手たちに最後の公式戦機会を提供する、そんな貴重なゴールとなった。

(取材・文 川端暁彦)
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