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「1日でも長くこのメンバーで…」小林悠、大久保のパスに“見てくれている”

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来季の残留を表明しているFW小林悠はケガから先発に復帰

[12.24 天皇杯準々決勝 FC東京1-2川崎F 味スタ]

 このメンバーでタイトルを――。複数のJ1クラブからオファーがあったことが伝えられていたFW小林悠川崎フロンターレとの契約を延長。来季以降も川崎Fのユニフォームを着る背番号11は試合後、熱っぽく語った。

「1試合1試合っていう考えで、みんなすごくいい入り方をした。特に前線3人、ノボリ(登里享平)も(大久保)嘉人さんも守備に走っている時間が長かったし、チーム全体で勝とうという気持ちが出ていたと思う。僕は1日でも長くこのメンバーでやりたいという気持ちが強い。勝って次に駒を進められて良かった」

 10月29日のJ1リーグ第2ステージ第16節鹿島戦(1-0)で左太腿裏の肉離れを発症して戦線を離脱したため、年間3位の鹿島に敗れた11月23日のチャンピオンシップ準決勝(0-1)には出場できなかった。この試合で復帰した自身としては約2か月ぶり、チームとしては1か月ぶりとなる公式戦は、立ち上がりから主導権を握った。

「試合間隔が空くと難しいと思っていたけど、その割には入り方が良かった」。序盤からシュートを連発し、攻撃のリズムをつかんだ。前半に2得点を奪って試合を優位に進めると、FC東京の反撃を1点に抑えて2-1の勝利。07年度大会以来、9大会ぶりとなるベスト4進出を決めた。「試合の入りの時点で『今日はもういけるな』という感覚があった。僕もそうだし、チームみんな感じたことだと思う」。

 前半41分にはFW大久保嘉人からの鋭い縦パスに反応したが、万全ではない左足に痛みを感じ、わずかにボールに届かなかった。「正直、足が痛くてキュッと動けなかった。嘉人さんのボールはイメージが合ってたけど、僕の動きが悪かった。『見てくれているな』と思ったし、あのタイミングで出してくれるのが嘉人さんなので、やっぱりやりやすい」。後半23分にはコースが低くなってGKに防がれてしまったものの、大久保のスルーパスに反応してダイレクトシュートを放つなど、阿吽の呼吸でゴールを脅かす場面をつくり出した。

 悲願のタイトルまであと2勝。風間八宏監督も「選手たちはトップになってもおかしくない力を備えてきた」とチームに太鼓判を押す。指揮官は今季限りでの退任が決定しており、退団を明言しているエース大久保もFC東京への移籍が濃厚だ。「前線の感じはすごく良かったので次につながると思う」。中4日で行われる準決勝では大宮と対戦する。1日でも長く「このメンバー」でサッカーをするために、あと一歩届かなかった今季を無冠で終わらせないために、まずは決勝の舞台にたどり着きたい。

(取材・文 佐藤亜希子)

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