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全日本大学選抜選考会、常連組が貫禄のゴール!チームの核は「12、13名」…残された枠を争う

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インカレ得点王の筑波大FW中野は得点でアピール

[12.25 全日本大学選抜選考会2日目 流経大G]

 全日本大学選抜選考合宿の2日目が25日、流通経済大サッカー場で行われた。約1時間の練習の後には、20分間3本の紅白戦を実施。全日本大学選手権(インカレ)覇者で“大会得点王”の筑波大FW中野誠也(3年=磐田U-18)や流通経済大FWジャーメイン良(3年=流通経済大柏高)らが得点を挙げるなど、アピールしたほか、筑波大MF三笘薫(筑波大1年=川崎U-18)らルーキーたちの奮闘も光った。

 全日本大学選抜は、来年8月18日から29日にかけては“ユニバーシアード日本代表”として、台湾で行われるユニバーシアード競技大会を戦う。今回の選考会では35名が招集されたが、ここから21名へ選考されたのちに宮崎での強化合宿を経て、来年2月の地域選抜対抗戦・デンソーカップチャレンジ(デンチャレ)を戦う18名に絞られる予定。その先にはドイツ遠征(2月27日から3月9日予定)などを行い、メンバーを選考しながら世界大会へ備える。

 今回の選考会はMF名古新太郎(順天堂大2年=静岡学園高)とFW山口一真(阪南大3年=山梨学院)がともに体調不良で辞退。またU-19日本代表の守護神・小島亨介(早稲大2年=名古屋U18)は故障の影響で見学となった。

 これまでの選考会では主に実戦に近い紅白戦が主体だったが、今回の2日間では様々なトレーニングにも時間を割き、紅白戦も20分間3本という形式。宮崎純一監督は「今回は試合時間を短くして、トレーニングも入れたので、トレーニングのなかで見えてきたものや、そこから発展して見えてきたものなど。90分の試合のなかでという状況ではないですが、20分間3本という短いなかで見える選手の特徴や現段階での状況が見えたので良かったと思う」と振り返る。

 紅白戦では全日本大学選抜の常連組が存在感。中野が絶妙な動き出しでボールを呼び込み、自ら決めたほか、ジャーメインも負けじとゴール。そのほかにもDF小池裕太(流通経済大3年=新潟ユース)は強烈なミドルシュートを決めるなど、攻撃でも力を示した。MF手塚朋克(慶應義塾大3年=静岡学園高)も鋭い突破でチャンスをつくるなど、アピールした。

 また夏の台湾遠征に1年生で招集されていたのはMF旗手怜央(順天堂大1年=静岡学園高)だけだったが、今回はルーキーを全6名招集。旗手、三笘、GKオビ・パウエル・オビンナ(流通経済大1年=JFAアカデミー)、DF黒川圭介(関西大1年=大阪桐蔭高)、DF眞鍋旭輝(桐蔭横浜大1年=大津高)、FW岸晃司(専修大1年=川崎U-18)も堂々のプレーで存在感をみせた。

 複数の1年生を招集した理由の一つには、全日本大学サッカー連盟が『大学から東京五輪へ』という命題の下、現大学1年生の代を強化しているという背景もある。今夏にはU-19全日本大学選抜の選考会や海外遠征も行った。指揮官は「そこで頑張っていた選手を呼んで、このなかでどれだけできるかと、リーグのなかなどで気になった選手を呼びました。それはそれで成果があったんじゃないかなと思います」と言う。

 旗手や岸が「手応えはあります」と揃って話したように、それぞれ先輩たちを前に臆することなくやりきった。宮崎監督は「初めて呼んだ若手の選手だとか、あまり今まで呼んだことのない選手も非常にいい取り組みをしてくれた。ここで選ぶのは21人ですが、デンソーカップではここで外れても地域の選抜で出てくる選手がいると思うので、また継続的にこの大会を通しても見ていきたい」と含みを持たせる。仮に今回の全日本から“落選”となった場合にも、デンチャレでの活躍次第では常に門戸は開かれている状況だ。

 今後より注目されるのは、GKの二枠に誰が入っていくのか。U-19代表・小島が有力候補だが、5月16日から6月12日にはU-20W杯があることもあり、2月末から3月頭にかけて行う全日本大学選抜のドイツ合宿とU-20日本代表の強化合宿が被る模様。そのような状況で、永石拓海(福岡大3年=高川学園)や長谷川洸(日本体育大3年=東京Vユース)、オビらがいかにチャンスをつかむか。またCBの組み合わせも模索中とみられる。

 現在の全日本大学選抜チームは今年2月に正式に始動。これまでデンチャレやマレーシア遠征、日韓定期戦、台湾遠征を行ってきた。唯一前回大会を経験しており、キャプテンを務めているMF重廣卓也(阪南大3年=広島皆実高)や山口、小池、DF今津佑太(流通経済大3年=流通経済大柏高)、DF高尾瑠(関西学院大2年=名古屋U18)など、チームの主軸となるメンバーはおおよそ固まりつつある。実際に指揮官は「コアになるところは12、13名という感じになると思います」と明言した。残された枠をデンソーカップチャレンジなどを通して争っていく。

 全日本大学選抜メンバーの選考に当たり、重要視していく点について、宮崎監督は「ベースになるテクニックやスキルはある前提で選出します。その上でチームがいい状況のときも悪い状況のときも、最後まで戦えるメンタリティかどうか、仲良くはなりますが、それだけではなく、だめなときはチームメイトにきちんと提言できる態度やメンタリティですとか、基本的にはそういう部分ですね」と指摘。

 また「サッカーのスタイルは集まった選手によって決まってくるので、一概にこういう選手をとはありませんが、そういう部分プラス、スキルやテクニックの部分では個で打開できるのは大きな要素だと想います。打開できる選手に対して、個人で対応できる守備力とかそういう部分」と語る。

 ユニバーシアード競技大会では、2大会連続で3位。2017年夏は3大会ぶりの金メダルを目指す。今回の選考を経て、まずは地域選抜対抗戦であるデンチャレへ。金メダル獲得のため、全日本大学選抜はここで負けるわけにはいかない。それぞれがチームとしての結果を求めることがユニバのメンバー入りへつながっていくはずだ。

(取材・文 片岡涼)

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