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夏冬全国逃した福岡大…九州5位の現実に、GK永石拓海「復活しないと意味がない」

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選考会でアピールしたGK永石、前回ユニバ代表をよく知る者として、やるべきことを全うする

[12.25 全日本大学選抜選考会2日目 流経大G]

 二度の全国大会に出場できず。ただただ悔しさの募ったシーズンだった。福岡大のGK永石拓海(3年=高川学園高)は「チームとしての結果も出せず、勉強になった年です」と言う。福岡大は夏の大学日本一決定戦である総理大臣杯出場を逃し、九州リーグは5位へ低迷。全日本大学選手権(インカレ)の出場権も獲得できなかった。天皇杯には出たものの、大学の全国舞台を知らぬまま終えた一年。守護神は悔しさをにじませる。

 2016年は好スタートを切るはずだった。しかし、今年1月31日に重度の右足首捻挫。手術を受け、全治約3か月と診断された。2015年夏のユニバーシアード競技大会では、直前の全日本大学選抜に招集されていたが、GK福島春樹(現・浦和)とGK前川黛也(関西大4年=広島皆実高・神戸内定)の後塵を拝し、本大会では落選。先輩GKを前に涙を呑んだが、自らが最終学年となるユニバでは主力になると強く誓い、全日本大学選抜の一員として戦う地域選抜対抗戦・デンソーカップチャレンジへ向け、調整するなかでの故障だった。

 「デンチャレに向けて、すごくいい準備ができていたときにやってしまって……」。志半ばで全日本大学選抜宮崎合宿を辞退。ピッチから離れる日々が続いた。

 自らは出場が叶わなかったが、今年3月のデンチャレは観戦しに訪れた。お世話になっている知人の車に乗せてもらい、福岡から宮崎まで約5時間をかけて移動。本来ならば自分が立っているはずの場所でプレーする仲間たちを見ては「やっぱり出たかった。見ているしかなくて、ただただ出たかった」と無念さを募らせていた。

 九州リーグの開幕には間に合わなかったものの、その後に復帰。8月27日に行われた天皇杯1回戦・北九州戦(0-1)でも先発したが、1失点に泣いた。熊本地震の影響で9月17日に再開したリーグ戦では正守護神としてゴールマウスを守ったが、なかなか結果はついてこず。終わってみれば、6勝1分4敗で5位終戦。インカレ出場権を逃した。

 20勝2分の無敗優勝でインカレ行きを決めた昨季が嘘のように、結果が出なかった今シーズン。永石は「昨年度、僕たちが2年生の時に九州無敗で全国大会に出て、それが当たり前というか、慢心というか……。全国にいけるのは当たり前というのが、みんなのなかにあったと思う。それがちょっと悪い方向にいってしまったかなと思います」と反省する。

「全国レベルを経験することができずに、ここの選抜に来て、全国のレベルをやっと経験できるという風になってしまった。下の後輩たちに申し訳ないというのがあります」

 今季の福岡大では結果を出すことはできなかったが、うつむいてばかりもいられない。すぐに新シーズンは始まる。加えて、ユニバ前回大会直前で落選した悔しさは、2017年大会で晴らすしかない。25日に行われた全日本大学選抜選考会に招集された永石は、積極的に前へ出ては自らの強みもアピールしていた。

 約1年前にあたる昨年12月26日の全日本大学選抜選考会。その後に離脱するなんて予想だにしていなかった永石は「(全日本の)中心になっていかないといけない」と覚悟を口にしていた。あれから約1年。負傷で出遅れ、全日本大学選抜からも遠ざかってきたが、強い想いは揺るがない。

「デンチャレではメンバーとして入らないといけないと思っているので、自分が引っ張っていかないといけないという想いは変わらないし、やらなければいけないなと。このメンバーと一緒に戦いたいなと思います」と言い切った。

 新シーズンを見据えては、福岡大の復権も誓う。「やっぱり復活しないと意味がないので。絶対にプロにもいくつもりですし、自分たちがやるしかないです」。プロ入りを見据えつつ、福岡大の復活を誓い、最高学年として迎えるユニバにも乗り込む気でいる。永石にとって、大学最後の一年間。勝負のシーズンが幕を開ける。

(取材・文 片岡涼)

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