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“小嶺マジック”炸裂!!長崎総科大附の変則5バック&強力3トップがプロ内定2人擁する桐光を飲み込む

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後半29分、追加点を決めたMF薬真寺孝弥(左)がFW右田翔と喜ぶ

[12.31 全国高校選手権1回戦 桐光学園高0-2長崎総合科学大附高 等々力]

 第95回全国高校サッカー選手権は31日、1回戦を行い、等々力陸上競技場の第1試合では長崎総合科学大附高(長崎)が桐光学園高(神奈川)を2-0で下し、初戦を突破した。来年1月2日の2回戦では鹿児島城西高(鹿児島)と対戦する。

 DFタビナス・ジェファーソン主将(3年=川崎F内定)、GK茂木秀(3年=C大阪内定)のプロ内定2選手を擁する桐光学園を長崎総科大附の勢いが飲み込んだ。DF森田将生(3年)がFW西川公基(3年)、DF嶋中春児(2年)がFW倉持快(2年)という桐光学園2トップをマンツーマンでマーク。最終ラインでDF田中純平(2年)を余らせる変則的な5バックを採用し、桐光学園にリズムをつかませなかった。

「相手の個性ある選手に対して、いかに守備陣が仕事をできるか。そこが勝敗の分かれ目だと思っていた」。そう分析した小嶺忠敏監督は守備で一人ひとりの役割を徹底。「今日の場合はそうせざるを得なかった。普通にやったら止められない。自分の分担をハッキリさせて、下手は下手なりに一人ひとりが自分の仕事を忠実にこなすことが大事だった」と、“桐光対策”の狙いを語った。

 球際での激しいプレッシングと攻守の切り替えの早さでも桐光学園を凌駕する長崎総科大附。前半7分には空中戦の競り合いからこぼれ球がタビナスの背後に抜けると、FW宇高魁人(3年)が素早くゴール前にスルーパスを通し、反応鋭く走り込んだFW右田翔(3年)が茂木との1対1から右足で冷静にゴール左隅に流し込んだ。

 粘り強い守備と爆発的な攻撃がかみ合った。U-17日本代表FW安藤瑞季(2年)を頂点に、右田と宇高が両ワイドを務める3トップは迫力十分。それを操るトップ下のMF薬真寺孝弥主将(3年)を含めた破壊力のあるカウンターが桐光学園にプレッシャーを与え続け、守備では相手に決定機をつくらせなかった。

 桐光学園は前半16分、左CKから西川がヘディングシュートを狙うが、ジャストミートせず、GK湊大昂(2年)が正面でキャッチ。同22分にはMF鳥海芳樹(3年)のスルーパスからPA内右に抜け出した西川がゴール前に折り返すも、わずかに味方には合わなかった。

 1点リードで前半を折り返した長崎総科大附は後半11分、左サイド深い位置まで切れ込んだ薬真寺のマイナスの折り返しに右田が合わせるが、茂木の正面を突く。その直後には左クロスがファーサイドに流れたところにMF小川貴之(2年)が走り込み、右足で強烈なシュートを打ったが、茂木が体を張ってキャッチした。

 守護神の好守に応えたい桐光攻撃陣は後半15分、MF佐藤太一(3年)に代わってFW鈴木太我(3年)がピッチに入り、西川と鈴木の2トップに変更。同20分には鳥海が強引なドリブル突破でPA内右に切れ込み、右足を振り抜いたが、惜しくもゴール左に外れた。

 すると後半29分、長崎総科大附は左サイドから右田、安藤とパスをつなぎ、横パスを受けた薬真寺が中央から右足一閃。ゴール左隅に叩き込む追加点で2-0と突き放した。同34分にも薬真寺のシュートが左ポストを叩くなど、最後まで攻撃の手を緩めなかった長崎総科大附。小嶺監督は「内容で負けて勝負に勝った。内容は桐光のほうが上だった」と相手を称え、「一人ひとりが能力に応じた仕事をしてくれた。各自の仕事を忠実に遂行してくれたことは評価できる」と総括した。

 国見高(長崎)監督時代に数々のタイトルを獲得した小嶺氏は昨年9月に長崎総科大附の総監督から監督に就任。「大した監督じゃない。何もしていないし、名前だけの監督。他のコーチ陣がしっかりやってくれている」。そう謙遜するが、今季は初参戦のプリンスリーグ九州を16勝2分の圧倒的な成績で制し、選手権予選4試合でも全試合で5得点以上をマークするなど、計26得点を量産した。

 自慢の攻撃力を引っ提げ、挑んだ2年ぶり4度目の全国選手権。13年度、14年度と、出場2大会連続で初戦敗退に終わっていた鬱憤を晴らす快勝で、同校としても県勢としても4大会ぶりに初戦を突破した。2回戦の相手はプリンスリーグ九州で6-0、1-0と2戦2勝の鹿児島城西。九州勢対決を制し、まずは12年度のベスト16超えを目指す。

(取材・文 西山紘平)

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