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[MOM1998]市立船橋DF杉山弾斗(2年)_志願のFK、左足で決めて市船救う!

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後半26分、市立船橋高は左SB杉山弾斗が決勝点となる左足FK

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.31 全国高校選手権1回戦 市立船橋高1-0京都橘高 フクアリ]

 もちろん、満足はしていない。本人は「きょうはセットプレーだけ」と首を振り、朝岡隆蔵監督も「もっとやらないといけないし、もっとやってほしい」と指摘する。それでも鉄壁の守りを見せる一方で無得点の時間が続いていた市立船橋高にとって、左SB杉山弾斗(2年)がもたらした1点は非常に大きかった。

 前半だけで6度あったCKのチャンスは杉山のキックのタイミングが合わないなど活かすことができず。後半は京都橘高GK矢田貝壮貴のビッグセーブもあってなかなか1点を奪うことができなかった。0-0のまま後半25分を経過。それでも26分、市立船橋はゴール正面やや左寄りの位置で獲得したFKを「あそこは入る気がしたというか、行ける気がしたので蹴らせてもらいました」と志願してキッカーを努めた杉山が左足で狙う。後半、キックの質が改善されていたDFの左足から放たれた一撃。壁に当たってコースの変わったボールがそのままゴールネットを揺らして待望の先制点になった。

 左手を握りしめた背番号2は「(喜びのダッシュで)どこ行こうかなと思って。観客席に行くのもあったんですけど、無意識でターンした方向がベンチだったので」とそのままベンチ方向へ走り出す。期待の裏返しか、普段は杉山について厳しいコメントをすることの多い朝岡監督も拳を握りしめて興奮の表情。それを見た杉山は「ああやって監督が迎えてくれる、喜んでくれる感じが今まで自分に対してはなかったので……(苦笑)。『これ、行っていいやつだ』と思って行きました」と指揮官へ向かって一直線で走りきり、思い切り飛びついた。

 1年時の全国高校総体でブレイク。全試合で先発出場し、チームの全国準優勝に貢献した。勢いのあるプレーがチームに好影響を与えたが、それ以外の部分で杉山は期待された成長をなかなか果たせず。2年になった今年は負傷もあって先発を外れる試合が続いた。

 それでもボールを受ける質の部分、流れなどを感じる部分の弱さを改善。「そこがなくなったら自分の良さ出ないし、そこが一番基盤になっているところ。攻撃参加とか、前に前にとか、ガツガツ行けるところが良さだと思っているので、なくさないようにしています」という勢いにプラスアルファを加える形で再び先発に定着した。この日はミスもした一方で前へ行く姿勢を見せ、相手の攻撃をケアする部分にも集中。そして、貴重なゴールを決めてヒーローになった。昨年はピッチに立てなかった3回戦でチームは敗退。今年は1試合も欠かすことなくピッチに立ち続けてこの日以上の活躍をする。

(取材・文 吉田太郎)
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