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3度目の正直で涙…先制ゴラッソの立正大淞南に逆転勝利で正智深谷が悲願の初戦突破!!

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逆転勝利で記念すべき選手権初勝利を飾った正智深谷高

[12.31 全国高校選手権1回戦 正智深谷高2-1立正大淞南高 NACK]

 第95回全国高校サッカー選手権は31日、各地で1回戦を行った。NACK5スタジアム大宮の第1試合では、2年連続3回目の出場となる正智深谷高(埼玉)と、2年ぶり15回目の出場となる立正大淞南高(島根)が対戦し、2-1で正智深谷が逆転勝利した。来年1月2日の2回戦では、開幕戦を制した関東一高(東京B)と対戦する。

「初勝利ができました。めっちゃくちゃ嬉しいです」。小島時知監督は満面の笑みだった。正智深谷はこれまで選手権に(今大会を除き)2度出場しているが、いずれも初戦敗退だった。だが、この日ついに“3度目の正直”を果たした。「勝利の素晴らしさ、嬉しさという気持ちはみんなで何度も味わいたい」。ホーム埼玉の大声援を受けた正智深谷が『一致団結』で同校の歴史を塗り替えた。

 試合の立ち上がりは、県予選で4試合27得点という圧倒的な攻撃力をみせつけた立正大淞南のペースだった。全体をコンパクトに保ち、MF井上健太(3年)がボールを受ければ一気に攻撃が加速。前線では注目ストライカーのFW梅木翼(3年)がボールを収め、攻撃のリズムを作った。守備では、金子悠野(3年)と山田祐樹(1年)のCBコンビを中心にPA内に相手を侵入させなかった。

 対する正智深谷は押し込まれながらも、左MF今岡マックス(3年)と2トップの右に入った玉城裕大(3年)がスピードを武器に両サイドから果敢に仕掛け、中盤ではMF小山開喜(3年)が相手の攻撃の起点をつぶし続けた。すると、前半27分にチャンスが訪れる。右サイドからのクロスにFW新井晴樹(3年)が競ってこぼれたボールを今岡、小山が立て続けにシュートを放つも、ともにGK宮嶋岳(2年)のブロックに阻まれた。

 前半28分にも正智深谷は、セットプレーからDF中村友空(2年)、同32分には新井が決定的なシュートを浴びせていく。しかし、いい時間帯に決めきれないでいると、前半終了間際に先制点を許した。立正大淞南は同37分、右サイドからDF西谷泰賀(3年)がロングパスを前線に送ると、PA手前やや左で梅木が受け、反転から右足一閃。GK戸田海斗(3年)の頭上を越すコントロールショットがゴールネットに突き刺さった。

 スーパーゴールで1点ビハインドとなった正智深谷は、後半開始から県予選準決勝で決勝点、決勝ではPKの最後のキッカーを務めた“スーパーサブ”FW田島帆貴(3年)をピッチに送り出す。開始早々に左サイドを崩され、PA左から決定的なシュートを打たれたが、GK戸田のファインセーブにピンチを防ぐと、同7分に同点のゴールネットを揺らした。玉城のスルーパスから左サイドで裏に抜け出した新井が中央に折り返すと、田島が左足でゴール上を突き、1-1とした。

「たぶん、もう一回くらいはピンチが来るからGK戸田が止められば、必ずこっちに流れが来ると言っていました。来るなという予感はしていたので。取った時間帯もよかったし、行けるなという予感があった」と、小島監督が語ったように正智深谷は後半10分に逆転の一撃を突き刺す。DF金子悠野(3年)がPA手前から左足ミドルシュートを放つと、西谷のハンドを誘い、PKを獲得。これをキャプテンの小山が冷静にゴール左に流し込み、2-1と逆転に成功した。

 追う展開となった立正大淞南にアクシデントが襲う。試合開始早々に担架でピッチ外に運ばれていた梅木は、治療を行い、その後もプレーを続けていたが、相手との競り合いで続行不可能となり、後半12分にFW岩山世和(3年)との交代を余儀なくされた。同24分には、山田を下げてMF松下昇太(2年)を投入し、同点ゴールを狙いにいくも、セットプレーから長身の西谷がゴールを脅かす場面もあったが、正智深谷の守備を最後まで崩すことはできなかった。

 試合はそのまま正智深谷が逃げ切り、2-1で逆転勝利。小島監督は、「全国大会で初めてのリードを経験した。それまでは劣勢の選手権だった。何としても守り切るぞと。堅守でよくみんな体を張ってくれた」と、勝利に涙を流した選手たちを称えた。初めての選手権2試合目となる相手は野洲高(滋賀)を破った関東一高だ。「東京のチームで実力はある。タイプ的にはうちと似ているかな。しぶとく一つ一つ勝っていって、(県大会決勝の会場だった)埼スタに戻ってこれるように頑張りたい」。ここからは未知の世界。埼玉の雄が着実に階段をのぼり、歴史を塗り替え続けてみせる。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 清水祐一)
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