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高校生にとっての“ディズニーランド”で楽しんでプレーも…高川学園は痛恨の逆転負け

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高川学園は痛恨の逆転負け

[12.31 全国高校選手権1回戦 鹿島学園2-1高川学園 三ツ沢]

 高校生プレイヤーにとって、夢の舞台である全国高校選手権。この場を高川学園高(山口)の江本孝監督は「ディズニーランドのような場所」と表する。高川学園高は夢舞台である選手権1回戦で先制したが、鹿島学園高(茨城)に1-2の逆転負け。夢の世界にいられた時間はわずか80分。初戦敗退となってしまった。

 立ち上がりこそ硬さもあったが、徐々にリズムをつかんでいった。FW山本駿亮(3年)が鮮やかなターンでDF2枚を置き去りにすれば、SBが果敢な攻撃参加で見せ場を演出。前半26分には、SB田中慎太郎(3年)がMF小林歩夢(3年)とのワンツーで抜け出し、クロス。ファーに飛び込んだ山本のヘディングシュートは枠を外れた。

 試合前に指揮官がかけた「ここは高校サッカー選手にとって“ディズニーランド”のような場所だぞ」という一言でリラックスした高川学園イレブンは伸び伸びと、この場を楽しむかのようにプレー。江本監督も「鹿島学園さんはとてもいいチームでしたが、高川学園の子たちもすごく楽しそうにサッカーをしていたんじゃないかなと」と振り返る。

 高校選手権という大舞台に呑まれることなくプレーしたチームは、0-0で前半を折り返すと後半23分に先制に成功。FW伊石祐也(3年)のパスを受けた山本が右サイドゴールライン際で粘ってクロス。ファーサイドのDF浜下光輝(2年)へのボールはMF木次谷和希(3年)にクリアされる。ここで得た左CK、小林のいれたボールは鹿島学園のMF竹内利樹(3年)の頭をかすり、最後はDF淺野竜生(3年)がヘディングシュート。ゴール前にいた相手FWに当たり、ネットを揺らした。

 チームの雰囲気も良いなかで奪った先制点。このゴールを守りきりたいところだったが、まさかの展開が待っていた。ボールポゼッションで上回るものの、なかなかシュートで終われない場面が続き、中盤でのボールロストが増えていく。すると後半30分に中央でボールを失い、カウンターから失点。1-1と振り出しに戻された。立て直したいところだったが、一度失った流れを取り戻すことはできず。後半37分に2失点目。サイドから押し込まれ、最後は正面からボレーを叩き込まれた。そのまま1-2の敗戦。初戦で姿を消した。

 指揮官は「あの子たちが身体を張ってもぎとった1点。その後の試合運びをしっかりコントロールしてあげられなかった責任じゃないかなと思います」と自らを責める。「選手権というムードや雰囲気のなかで冷静になるのが難しい。僕自身も分かっていたのですが、先制点を食らった後に失点したら、こういう雰囲気になるので阻止したかった。悔しいです」。

 夢の世界でボールを追う時間は儚く終わった。自らの采配を繰り返し悔やんだ指揮官。「すごくハツラツとした楽しいサッカーが展開できたのではないかな」と最後まで選手たちのプレーぶりを誇っていた。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 片岡涼)
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