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プレミア昇格の米子北が“上出来”の前半3発! 主将欠く旭川実を下し2回戦へ

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FW伊藤龍生(3年)の2ゴール1アシストの活躍で米子北が初戦を突破

[12.31 全国高校選手権1回戦 旭川実高0-3米子北高 NACK]

 第95回全国高校サッカー選手権は31日、各地で1回戦を行った。NACK5スタジアム大宮の第2試合では、4年ぶり5回目の出場となる旭川実高(北海道)と、7年連続12回目の出場となる米子北高(鳥取)が対戦し、3-0で米子北が勝利をおさめた。来年1月2日の2回戦では、佐野日大高(栃木)と対戦する。

 今年の全国高校総体でベスト8、プリンスリーグ中国では優勝し、プレミアリーグ参入戦を勝ち抜いて来季の昇格を決めた米子北は、立ち上がりから連動した動きで攻め込むと、開始早々の4分に先制点を挙げる。PA右で浮き球パスを受けたFW伊藤龍生(3年)が中央にグラウンダーのボールを送ると、ニアに走り込んだFW崎山誉斗(3年)がスルーし、後方のスペースに走り込んだMF山室昂輝(3年)が難なく右足で流し込み、幸先よく先制した。

 さらに勢いは止まらず、前半8分にMF武部雄(3年)の右CKから崎山がヘッドでつなぎ、最後は伊藤が打点の高いヘッドで押し込み、2-0とリードを広げる。その後も、中盤でセカンドボールを拾い続け、相手の攻撃の芽をつむなど、連動した守備で相手にチャンスを作らせない。攻撃では、山室を中心に流れるようなパスワークを展開。これを受けた崎山や伊藤が確実にシュートまで持ち込んでいく。

 一方、大会前の練習中に左足首を骨折したMF伊藤和稀(3年)主将を欠く旭川実業は、立ち上がりの連続失点から徐々に落ち着きを取り戻し、持ち味のパスサッカーを展開する。だが、前半22分のFW高貝樹幹(3年)のシュートは枠を外れ、同39分には、浮き球のパスを受けたMF松井熙(3年)が足もとの技術の高さをいかし、強引に前を向いて左足シュートを放つもGK中原創太(3年)のセーブに遭い、米子北の集中した守備を前に得点を奪うことができない。

 すると、前半終了間際に米子北が「勝負の3点目」を決める。前半アディショナルタイム1分、崎山のパスをPA内で受けた伊藤がフェイントで対峙したDFのマークを外し、豪快に右足で蹴り込みゴール左隅に突き刺した。中村真吾監督も「もともと力の差はそんなにない。僅差だと思っていたけど、前半の3点は上出来だった」と米子北にとって驚きの前半となった。

 まずは1点返したい旭川実業は、後半22分に決定機。MF中里颯汰(2年)が右CKからグラウンダーのボールを中央に送り、ゴール前でDF中嶋悠人(3年)が粘って決定的な右足シュートを放つも、狙いすぎたのかわずかに左に外れてしまい、チャンスを逃した。終盤に向けては同31分にDF佐々木悠真(2年)、34分にFW片山幹太(3年)を投入し、パワープレーに出るも1点が遠い。

 後半も米子北は、山室の高精度の長短のパスでスピーディーな攻撃を仕掛け、主導権を握るが、なかなか決定的な場面を作ることができない。前半32分からと途中出場のMF小橋亮介(3年)が個人技から何度も左サイドを突破し、観衆を沸かせるなど脅威になり続けるも最後のところで精度を欠き、試合は3-0のまま終了した。

「しっかり最初から走って、後半にチャンスを決めれればいいと思っていた。ちょっとプランとは違ったけど、最初に(得点が)取れたので良かったと思います。勝負だと思っていた3点目がなかなか取れませんでしたが、前半終わりに取れて、後半はすごく楽になりました。メンバー変更も含めて、色々計算できました」と初戦突破に中村監督は笑顔をみせる。ただ、満足はしていない。「やろうとしていたことが全部出し切れていない。一つでも多く試合をして、頑張ってきた成果を出させてあげたいと思います」。来季のプレミア昇格を決めるなど、勢いに乗る米子北。最高の年だったと振り返られるようにチーム一丸となって頂点まで突き進んでいく。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 清水祐一)
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