[12.31 全国高校選手権1回戦 市立船橋高1-0京都橘高 フクアリ]

　1年時から名門の最終ラインの一角を努めてきたDFにとって「最後の選手権」がスタートした。市立船橋高DF杉岡大暉主将(3年)は、来季湘南入りを決めているU-19日本代表CB。京都橘高のU-19日本代表FW岩崎悠人との対決が注目されたこの日は、前半に自陣からのカウンターを狙おうとした岩崎のボールをカットしたほか、後半には身体を投げ出してその突破を止め、またPA手前での混戦での攻防や空中戦で強さを発揮するなど無失点で勝利を収めた。

　2試合無失点で終えた昨年度の選手権に続く完封勝利。相手の守備網を中央から切り裂く攻撃参加や左足でのサイドチェンジも武器だが、前半は自重していた。「一番怖いのは失点することだったので、まずはゼロにしてその上で点を取りに行くのはゲームプランでした」。一発のある岩崎を警戒しながらの80分間。ポスト直撃のシュートを許すシーンもあったが、大会前に笑顔で「杉岡ブチ抜いて獲ります」と宣言していたライバルを「冷静に。奪うことはできなくてもゴールを取らせないことはできると思う。ディレイしたりすることは意識していました」と特長を十分に出させることなく無得点に抑えた。

この日は、17年シーズンから加入する湘南のチョウ・キジェ監督も来場。試合後に「開いた時の攻撃参加とか褒めてもらいました」という杉岡は「後半、相手の運動量が落ちた時に、どうやってSHを釣り出していくかは意識していた」。湘南へ加入する前に、ひとつ自身のアピールにも成功した。

　夏の全国制覇を果たし、プロ入りも決めている杉岡だが、現在何よりも手にしたいのは選手権日本一。「(市立船橋にとって初となる)夏冬連覇という目標がある。一戦一戦成長していかないといけないと思うのでやっていきたい」。ひとつ壁を越えたが、勝ち続けることの難しさを知っている経験豊富なDFは、試合後すぐに気を引き締めて2回戦への準備をスタートした。

(取材・文　吉田太郎)

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