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「絶対忘れられない敗戦」…立正大淞南の注目ストライカー梅木は“ゴラッソ”も無念の負傷交代

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無念の負傷交代となった立正大淞南のFW梅木翼

[12.31 全国高校選手権1回戦 正智深谷高2-1立正大淞南高 NACK]

 圧巻の先制ゴールだった。前半の半ばあたりから押し込まれる時間が続いた立正大淞南(島根)だが、エースの一撃で嫌な流れを断ち切った。前半37分、ペナルティーアーク左手前で相手を背負いながらDF西谷泰賀(3年)のロングパスを受け、2タッチで前を向くとそのまま右足を一閃。GKの頭上を突くシュートをゴール右隅に突き刺さした。

 今大会注目のエースストライカーFW梅木翼(3年)は、高さとシュートの巧さを兼ね備え、プリンスリーグ中国では開幕から8試合連続ゴールを決めるなど高い決定力を誇るストライカーだ。しかし、選手権の県予選では、チームは4試合27得点と圧倒的な攻撃力をみせたが、梅木はまさかの無得点。決勝戦の石見智翠館高戦の後には、全国行きを決めて喜ぶチームメイトとは対照的に悔しい涙を流していた。

 そして迎えた選手権初戦。開始早々に担架でピッチの外に運び出され、ヒヤッとする場面もあったが、治療を終えて復帰すると、前半37分に「自分の中でイメージはあった」という先制点を決め、前半を1-0で終えた。「相手も残り40分しかないので、前から来るのはわかっていました。それでも3年間練習してきたことをやり抜いたら絶対勝てるからと言って後半に臨みました」。しかし、チームは後半開始早々に2点を失い、一気に逆転されてしまった。

 さらに立正大淞南をアクシデントが襲う。梅木が相手との競り合いで続行不可能となり、後半12分に交代を余儀なくされた。「ああいう形で代わったことはチームメイトに申し訳なかった。あとは頼んだぞと思っていました」。その思いは届かず、1点ビハインドに加えてエースを欠いた立正大淞南は、スタンドからのチームメイトの声援も届かず、得点への焦りからかファウルが増え、試合はそのまま1-2で終了。立正大淞南は1回戦で姿を消すこととなった。

「点が取れたことに関しては、いい形で取れたのでそれは良かったなと思いました。こうやって勝てなかったのは、今は本当に悔しい」。時折、言葉を詰まらせながら、試合を振り返った梅木。高校でのサッカーはここで終わりを告げたが、今後は大学でサッカーを続けていくつもりだ。「絶対に忘れられない負けなので、この悔しさを忘れずに大学でも1年生から試合に出られるように頑張っていきたいです」。サッカーを続けていく限りこの敗戦はついてまわるだろう。それでもこの悔しい気持ちを成長へとつなげ、チームを頂点に導くエースストライカーになってみせる。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 清水祐一)
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