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一条が初の2回戦突破!「雰囲気に飲まれた」山形中央は初戦で涙

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前半35分、一条高MF梅本耕平が決勝弾を叩き込んだ

[1.2 全国高校選手権2回戦 山形中央高0-1一条高 西が丘]

 第95回全国高校サッカー選手権は2日、2回戦を行い、味の素フィールド西が丘の第1試合では3年ぶり7回目の出場となる一条高(奈良)が4年ぶり11回目の出場となる山形中央高(山形)に1ー0で勝利した。一条は3日に行われる3回戦で佐野日大高(栃木)と激突する。

 予選5試合で28得点を奪った攻撃力を提げて選手権に乗り込んだ一条が、細かいパスワークから流れを引き寄せた。立ち上がりから左サイドのドリブル突破で好機を演出するMF岩本修平(3年)が前半11分、後方からのフィードに飛び込んでヘディングで合わせたが、決定的なシュートは山形中央GK阿部拓真(3年)の好セーブに阻まれる。一条は続く17分にもMF加茂裕輝(3年)がスピードに乗ったドリブルで持ち上がり、フリーのFW小池竜雅(3年)がPA内右からシュートを蹴り込んだが、惜しくも枠をとらえられなかった。

 一方的に攻め込む一条。21分には岩本が小池に預けて猛然と走り込み、リターンをもらってPA左からシュートを放ったが、山形中央DF工藤万尋(2年)の身体を投げ出したブロックに止められる。だが35分、敵陣でのボール奪取からMF川崎航太(2年)がドリブルで持ち上がってPA内にスルーパス。勢いよく走り込んだMF梅本耕平(3年)が左足を振り抜き、先制点を叩き込んだ。

「僕たちが(選手権の)雰囲気に飲まれてしまったのは否めない。気持ちの高まりをコントロールできない選手もいた。前半はバタついてしまって、悔やまれるゲームの流れ」。山形中央の羽角哲弘監督は自滅してしまった前半を悔やんだ。県新人戦、県総体、県1部リーグ、選手権県予選と山形4冠を達成し、来季のプリンスリーグ東北昇格も決めた山形中央だったが、前半はシュート数0本。FW八矢悠雅(3年)の鋭い切り返しや突破は光ったものの、フィニッシュにはつながらず、防戦一方の展開だった。

 1ー0で前半を折り返した一条は、後半16分にFW秋月健(3年)が投入され、2トップの一角に入る。後半22分には小池が秋月とのワンツーから持ち上がって右足を振り抜いたが、強烈なシュートは右ポストを直撃。前田久監督は後半の攻め方について「前に出てきた裏を狙ったけど、カウンターが効果的じゃなかった。真ん中から行きすぎた」と反省を口にした。

 劣勢を強いられていた山形中央は終盤、意地を見せる。後半30分、PAへのスルーパスで抜け出したMF加藤優一(3年)がフリーで右足を振り抜いたが、シュートはミートせず。34分には左サイドをドリブルで切り込んだMF中川和彦(2年)がそのままシュートを放ったが、わずかにゴール右に外れ、絶好のチャンスを逸した。

 一条はCB稲葉大典を中心とした最終ラインの徹底したカバーリング、身体をぶつける献身的な守備で最後まで山形中央の攻撃を跳ね返し、1ー0で勝利。7回目となる出場で同校史上初となる2回戦突破を果たした。3日の3回戦は佐野日大と激突する。前田監督は「非常にいい後半の攻撃で苦しかった。後半、あそこまで足が止まるとは思わなかった」と苦笑しながらも、「頑張って守った。相手に気持ちよく抜け出させるシーンをつくらせなかった。ディフェンス面の粘りは評価したい」と守り勝った選手たちを称えた。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 佐藤亜希子)

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