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「1年間で最悪の雰囲気」「勝てたのが不思議」決戦前夜、駒澤大高を襲ったまさかのハプニング

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前半17分、2点目を決めた駒澤大高のMF矢崎一輝(3年)がベンチに駆け寄る

[1.3 全国高校選手権3回戦 山梨学院高0-4駒澤大高 駒沢]

 決戦前夜は「1年間で最悪の雰囲気」(DF高橋勇夢主将)だった。大会初戦となった前日2日の2回戦・高松商戦に1-0で競り勝った駒澤大高(東京A)だが、その試合内容は大野祥司監督が「悪すぎた」と激怒するほど。「おごりがあったと思う。試合でもミスがあったし、サッカー以外でもミスがあった」と、チーム内で起きた前日の出来事について口を開いた。

 駒澤大高では本大会前、OBからの紹介もあり、疲労回復などに効果があると言われる水素吸入器を11本レンタル。選手が吸引する際に使用するチューブは各自が購入した。ところが、「昨日、『空いている時間に吸え』と言ったら、5人がチューブを持ってきていなかった」(大野監督)と、高橋主将やMF長井虎之介(3年)ら主力も含めた複数の選手がチューブを忘れてきたのだという。

 これに激高した大野監督は試合前夜のミーティングも行わず、あえて選手を突き放した。「いろんな人たちのおかげで僕らはホテルに泊まらせてもらったり、サッカーをやらせてもらっているのに、軽率なミスを犯してしまった。監督が怒るのも分かる」と猛反省した高橋はその後、監督に謝罪。「過去は過去。明日勝つかどうかはお前たち次第だ」とゲキを飛ばされた。

「ここで負けたら絶対に後悔すると思ったし、謙虚な気持ちで試合に入って、それが結果につながって良かった」(高橋)、「昨日の試合と違ったのは気持ちの入り方の部分。私生活で“オチ”があって、それを取り返そうと、全員で意識して試合に入った」(長井)と、初心に立ち返り、仕切り直しの一戦に臨んだ。

 高橋が「勝てたのが不思議なぐらい」と振り返った“チームの危機”を乗り越えての8強入り。チューブを忘れた選手たちも家族に頼んで宿舎に届けてもらったそうで、長井もこの日の試合後は水素吸入器を大事そうに抱えながら報道陣の取材に応じていた。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 西山紘平)

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