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また歴史塗り替えた!「堅守速攻」と「一致団結」の正智深谷が会心の3-0勝利で8強入り!

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正智深谷高は3発快勝で初の準々決勝進出

[1.3 全国高校選手権3回戦 創造学園高 0-3 正智深谷高 浦和駒場]

 第95回全国高校サッカー選手権は3日、3回戦が行われ、ともに初の8強入りを懸けた創造学園高(長野)対正智深谷高(埼玉)戦は3-0で正智深谷が快勝。正智深谷は初めて進出する準々決勝で青森山田高(青森)と戦う。

 埼玉県勢としては10年度大会の西武台高以来6年ぶりの8強。今大会初戦の立正大淞南高(島根)戦で選手権全国大会初勝利を挙げてから瞬く間に3勝目も挙げてまた歴史を変えた正智深谷には、自信を持っている武器がある。「堅守速攻」。MF小山開喜主将(3年)が「守備のところは口酸っぱく言われてきた。まず守備からというのがテーマなんで。良かったです。守備は自信ありますね」

 このチームは関東大会予選を5試合1失点で制し、全国高校総体予選は準決勝で敗退したものの、3試合無失点だった。そして選手権予選を5試合1失点で制している正智深谷は全国大会でも完封勝利を記録。全国を勝ち抜くための鉄壁の守りと得点力も兼ね備えた埼玉代表が地元・埼玉で快勝を収めた。

 前半19分、正智深谷は相手GKのミスキックを奪うと、ショートパスを繋いで最後は右中間のMF海老塚宝良(2年)が右前方へラストパス。これをMF鈴木涼太(3年)が右足で叩き込んで先制点を奪う。

 創造学園も良い形でボールを奪うと、右のMF青木弥彦(3年)、左のMF近藤弘人(3ね)がクロスへ持ち込む。26分には左クロスから青木弥があわやのシーンを迎え、直後にはセットプレーの流れからDF青木悠弥(3年)が決定的な左足シュート。そして33分には右サイド後方からのFKをDF森昂大(2年)が折り返して青木悠が右足で合わせたシュートがクロスバーを叩いた。

 だが、次の1点を奪ったのはFW田島帆貴(3年)とFW玉城裕大(3年)のコンビネーションなどでチャンスを作っていた正智深谷の方。前半アディショナルタイム、再び相手のミスを逃さずにボールを奪うと、海老塚が右サイドから逆サイドのスペースを突いたFW新井晴樹(3年)へ斜めのパスを通す。そして新井がGKを引きつけて出した折り返しに小山が走り込んで左足で決めた。

 2点ビハインドとなった創造学園は後半開始から技巧派MF池澤波空(3年)と攻撃の柱であるFW前谷朋宏(3年)を同時投入して攻撃へ重心を傾ける。だが勝沢勝監督が「2-0でリードして左サイドで失わないように、(上げられるタイミングでも)速くクロスを上げないようにしていた。試合巧者だな、(埼玉という激戦区で)厳しい勝負の中で生きているチームだなと感じました」と評した正智深谷の前に流れを傾けることができない。

 守備意識の高い小山や海老塚が切り替え速い守備でボールを奪い返す正智深谷は上手く時間を削る一方で、交代出場の180cmFW梶谷政仁(2年)が柔らかいボールキープなどから決定的なシーンを連発。それでも相手のシュートミスによって2点差のまま食らいついた創造学園は、前谷の抜け出しなどからチャンスを掴む。

 だが、15分に池澤が放った決定的なシュートや30分に近藤が打ち込んだ一撃がわずかに枠を外れ、また正智深谷GK戸田海斗(3年)の好守にあうなど追撃することができず。逆に40分、正智深谷は交代出場のMF須藤寿音(3年)の折り返しを梶谷が決めた。その後、来季浦和でプレーするFWオナイウ阿道の弟、MFオナイウ情滋(1年)が登場。快足で会場を沸かせて正智深谷は会心の80分間を終えた。

 正智深谷の小島時和監督は「埼玉県代表として最低のラインには来たと思います」と語り、3度目の出場で歴史をまた塗り替えた選手たちに目を細めた。ショートカウンターからのゴールと無失点勝利。持ち味の堅守速攻を表現して準々決勝への切符を掴んだ。

 正智深谷のスローガンは「一致団結」。今、チームはそれを実感しながら戦い続けている。前日の関東一高(東京B)との2回戦では前半26分に退場者を出し、リードを奪われなからも全員がチームのために一つになって戦い、後半終了1分前からの2ゴールで大逆転勝ちした。小山は「一番実感したのは昨日10人になってからの試合が一番一致団結した。今までは言葉だけだったんですけど、身体で実感できたのはあります」。

 チームの一体感高まる中で続く3回戦も快勝。勢いづいている正智深谷は準々決勝でプレミアリーグチャンピオンシップ優勝の青森山田に挑戦する。小島監督は「ボコボコにやられるかもしれないし、粘れるかもしれないし、できれば後者になるように。準々決勝でもチャレンジしたい」。全国で戦う武器となっている堅守速攻と、一致団結でV候補に挑戦する。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 吉田太郎)
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