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かつての“鬼門”もプレミア王者に関係無し!青森山田が聖和学園との再戦で再び5-0快勝!

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青森山田高はFW鳴海彰人の2ゴールなどによって5-0快勝

[1.3 全国高校選手権3回戦 聖和学園高 0-5 青森山田高 浦和駒場]

 3日、第95回全国高校サッカー選手権3回戦が行われ、聖和学園高(宮城)と青森山田高(青森)との東北勢対決は青森山田が5-0で快勝。青森山田は1月5日の準々決勝で正智深谷高(埼玉)と対戦する。

 2年連続選手権で実現した注目対決。スコアは1年前と同じく5-0まで開いた。立ち上がりは初の3回戦を戦う聖和学園がボールを支配。ドリブルとショートパスを活用して中央、サイドから青森山田の守りをこじ開けようとする。

 対する青森山田は前線からプレスを掛けるのではなく、やや重心を下げてコンパクトな陣形を保つ。そして最小限の運動量で相手のドリブルサッカーに対応。そして奪ってから攻撃を縦に急がず、横に振ることで聖和学園の切り替え速く、人数を懸けたプレッシャーを回避する。

 黒田剛監督は「できるだけボールを奪ったら前に仕掛けるということよりも横、後ろで回避してサイドを変えて行こうと。それを多くやっていくことによって(聖和学園は)分散、組織、分散、組織ってなる。そういう彼らのやりたいことをところどころ遮断させていくことが我々のゲームプランだった」と説明した。

 FW鳴海彰人(3年)も「聖和さんが(自分たちを)疲れさすようなサッカーしてくるんで、そこは食いつかずに取りどころがあったらそこを狙うことを徹底した」と振り返っていたが、揺さぶり続けて逆に相手を走らせた青森山田が聖和学園の隙を生み出し、得意のセットプレーから先制点を奪う。

 32分、MF郷家友太(2年)の右ロングスローをニアで左SB三国スティビアエブス(3年)が競り勝つと、最後はゴールエリアで浮き球に反応した10番MF高橋壱晟(3年、千葉内定)が頭で先制点を押し込んだ。青森山田はさらに35分、左サイドを深くえぐったMF住川鳳章(3年)がクロスを放り込む。これを逆サイドから走り込んだMF嵯峨理久(3年)がダイビングヘッドでゴールを破って2-0とした。

 青森山田は前半アディショナルタイムにも高橋が左サイドから入れたグラウンダークロスがファーサイドの鳴海へ到達。背番号11がこれをコントロールから右足で決めると、聖和学園DF数人が早くもピッチに崩れ落ちてしまう。

 東北のドリブル軍団にとってダメージ大きかった3点目。6月の東北高校選手権(総体東北大会)1回戦で青森山田を破っている聖和学園だが、当時青森山田は主力不在のメンバー構成だった。普段、プリンスリーグ東北で戦っているのも青森山田のセカンドチーム。聖和学園のエースMF原科勇我(3年)は「取られたあと、プリンスとかだったらちょっとは取り返せたと思うけれど、取られたあとの攻守の切り替えが速かったです」と語り、後半ドリブルで奮闘したFW西堀駿太(3年)も「1枚目剥がせても2、3枚目で取られた。セカンドのチームと対応の速さは違った」とプレミアリーグチャンピオンシップで優勝して「高校年代真の日本一」となっている青森山田の“本当の強さ”に舌を巻いていた。

 青森山田は後半8分にもPAでボールを奪い返し、最後は鳴海が右足で4点目。27分にも三国の左クロスに嵯峨が飛び込むと、相手をオウンゴールを誘って5-0とした。聖和学園はブレずに攻撃を繰り返し、原科やMF藤井僚哉(3年)がゴールを狙ったものの、1年前と同じくGK廣末陸(3年、FC東京内定)が守るゴールを破ることはできず。青森山田が2試合連続の5-0快勝でベスト8進出を決めた。

 青森山田はFC東京U-18との直接対決(12月11日)で勝利してプレミアリーグEAST優勝を決め、チャンピオンシップ(12月17日)で広島ユースとの激闘をPK戦で制して日本一に輝いた。それからまだ半月強。肉体面でも、精神面でも厳しい日程となっているが、選手たちは上手く調整して選手権を迎えている。

 嵯峨は「監督にも一回頂点に立って選手権へ向けてメンタルつくるのは難しいけれど、徐々に徐々に上げていけと言われていた」。メンタル面のピークが続きすぎないような配慮が取られ、そのコンディションを上手く上げてきた青森山田は、かつて02年度から5年連続、10年度から4年連続で敗れていた“鬼門”の3回戦を難なく突破。プレミアリーグでの厳しい勝負を勝ち抜いてきたチームには強みがある。

 黒田監督は「戦い方というか、勝ち方、粘り方というのは身体に身についているので選手権へ向けて大きなアドバンテージになってきたのかなと思っている」。悲願の日本一を勝ち取る権利を十分に備えている北の名門。強さを見せつけている青森山田が次は正智深谷との準々決勝を制して昨年度の4強に並ぶ。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 吉田太郎)
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