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ゲキつよっ!!vol.6「W杯予選敗退、7年ぶりの代表監督交代…新時代に入った日本フットサル」

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ベトナム代表をフットサルW杯16強に導いた、ブルーノ・ガルシアが日本代表新監督に

 解説者の元サッカー日本代表・北澤豪氏による新コラム「ゲキつよっ!!」。日本代表からJリーグ、海外サッカー、育成年代、フットサル、障がい者サッカー……、幅広くフットボールに精通する北澤氏が、テレビでは語り切れない魅力を綴っていきます。

2020年へ走り出した日本フットサル界

 昨年の日本フットサル界は、いろいろな意味でニュースに事欠かない1年だった。

 2月にはAFCフットサル選手権の5位決定プレーオフで敗れ、コロンビアで行われるフットサルW杯への出場を逃してしまった。2012年のフットサルW杯タイ大会では、ミゲル・ロドリゴ監督率いる日本代表は史上初のベスト16入りし、他国がモデルにするようなチームだった。コロンビア大会では、ベスト16以上も狙えただけに、アジアでの敗退は非常にショッキングな出来事だった。

 アジアでの負け方を分析すると、相手チームの作戦に混乱したり、想定外の出来事に対応できていないと感じた。敗因の中に、メンタルの要素が多かったように思う。翌月には、7年にわたって代表監督を務めてきたロドリゴ監督が、契約満了をもって退任することに決まった。

 個人的には、3月に日本サッカー協会フットサル委員長に任命された。命題は明らかだ。これまでのものを断ち切って新たなスタートを切るのか、継続して上澄みしていくのか。フットサル日本代表監督の人選から、委員長としての仕事が始まった。

 サッカー同様に大陸が異なれば、フットサルの質も変わる。ブラジル人監督の招聘も検討したが、ロドリゴ前監督と同じスペインフットサルを継続していくということで決着を見た。2020年のW杯出場を改めて目指していくのと同時に、外国人が代表監督におさまることによって、Fリーグの日本人の指導者も育てるという目的もあった。指導者が指導指針をしっかりと持って、自分流にチームに落とし込んでいくのは、スペインに近い。それは代表チームとFリーグに統一感が出ることも意味する。我々としては、代表監督は思いつきで決めるものではないということを、明確にしたかった。監督に「個が世界の主流だ」と言われて「はい、そうですか」ではダメ。Fリーグも10年の歴史があるわけで、「日本はこうしたい」ということを一緒に話しながら決めていけるようにしなければならない。残念ながら、そういう流れができていなかった。

 4月には技術部会をつくり、代表強化や監督の決定、育成強化、指導者養成などを見据える機関となった。こうして体制を整えて、10月にスペイン人のブルーノ・ガルシア日本フットサル代表新監督を発表することができた。

 ワールドカップに出るためには、代表チームの強化、つまりリーグの強化が必須。それは、Fリーグだけでなく、地域リーグまで含めた底上げだ。たとえば、地域リーグで優勝したら全日本選手権への優遇措置をとって、上のカテゴリーにつながるようにする。強化をするのはトップリーグだけでは強くならない。

 サッカーを例にとると、年代別の代表を組織していることは、確実に強化につながっている。フットサル日本代表の年代別はU-20代表までで、サッカーのようにU-23代表というカテゴリーがなく、その年代が歯抜けになってしまう。それならば、大学生という既存のカテゴリーを強化すればいい。アンダーカテゴリーの強化もまた、その国のフットサルを強くするためには欠かせないのだ。

女子フットサルがリーグ化への一歩

 女子フットサルもようやく日の目を見ることになった。10月には、女子フットサルリーグのプレ大会が開幕し、今月15日で閉幕しようとしている。世界的に見ると、日本は遅れていると言わざるを得ないのだが、まず始めることが大切なのではないだろうか。

 日本は女性がスポーツをやる環境へと、どんどん変わってきている。そんな流れの中で、女子フットサルW杯を日本で開催しようという施策も。フットサルを個人で楽しむ人口が多い日本では、盛り上がりを見せる可能性は大いにあると思っている。2016年に立候補した。フットサルW杯2020の開催地も間もなく決定する予定だ。

 しかし、ここでも課題はある。東京五輪でも世間を騒がせているが、“アリーナ問題”はフットサルでも深刻だ。世界やアジアから見ても、日本の室内競技場の環境は乏しいのが現状。体育館ではなく1万人規模のアリーナ施設がなければ、運営の面からみても厳しいと言わざるを得ない。これはフットサルに限らず、他の室内競技や支援してくれる企業とも手を取り合っていくべきミッションといえるだろう。


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