[1.9 全国高校選手権決勝 青森山田高5-0前橋育英高 埼玉]

　前線で決定機を演出し続けたストライカーだったが、終わってみれば自身が放ったシュートはわずか1本。前橋育英高のFW人見大地(3年)は、「もっとシュートを打っていいシーンはあったと思うし、FWなのにシュート1本というのは正直情けないです」と唇を噛んだ。

　4万人を超える観客を先に沸かせたのは前橋育英高だった。青森山田のキックオフからGK廣末陸(3年)が前線へ入れようとしたボールを人見がカット。ボールは無人のゴールへ向かっていったがポスト右へ逸れていった。

「分析でああいうキックオフをしていたので、最初はやってやろうと狙っていこうと思っていました。あれで気合が入ったというか、試合の入りはいけるぞという感じになりました」

　しかし後が続かなかった。幾度も決定機を得たが相手守護神のファインセーブに泣いたほか、青森山田CBの身体を張った守備に弾かれた。人見は前線へ決定的なスルーパスを通すなど、奮闘したが得点にはつながらず。

「前半の立ち上がりは育英がペースをつかんで攻撃するシーンが多かったのですが、そこで決めきれないのが前橋育英の弱さ。相手は1本のチャンスを決めてきたので、やっぱり青森山田さんは非常に力があるチームなんだなと感じました」

　決定機の数では上回っていた前半だったがスコアは0-2。迎えた後半では3失点を喫してしまい、終わってみれば0-5の敗戦だった。人見と同じく春から仙台大へ進学する青森山田FW鳴海彰人(3年)は2得点を挙げたが、自身は不発。「相手のFWは2得点も取っていたのに、自分は抑えられてしまった。自分としては完敗ですね」とうつむく。

　前橋育英にとって2年ぶりの決勝の舞台だったが、悲願達成とはならなかった。24番を背負い、決勝までチームを牽引してきたFWは「今までの自分たちの成績からすれば、ここまで来たことは今後につながる。2年生が多いので来年必ずやってくれると信じています」と想いを託した。

(写真協力 『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 片岡涼)

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