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最終ライン3人が入れ替わっても全員が守備コンセプト徹底、青森山田は180分間無失点でイングランド遠征終了

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スペースを埋める右SB小山新青森山田高は全員の守備意識が高く、コンセプトを全うした

[1.20 練習試合 青森山田高 4-0 ストラカンFF セント・ジョージズ・パーク]

 誰がピッチに立っても、どんな状況でも、自分たちの守備をやり通した。青森山田高の上田大貴コーチは4-0で終えたイングランド遠征最終戦後、「山田でやってきた守備のコンセプト、ゴールを隠す守備だったり、PAの前でアタックする守備をするというところをチームの全員が共有してできたのが失点ゼロに繋がった」と賞賛。前半は橋本恭輔(3年)と工藤聖人(3年)のCBコンビ中心に決定打を打たせず、後半は最終ラインの3人を入れ替えてCB新村隆司(3年)、左SB中山純希(3年)、右SB新井健太郎(3年)と選手権で1試合もベンチ入りしていない3年生たちが最終ラインに並んだが、彼らも身体を投げ出してシュートをブロックするなどゴールを許さずに無失点で終えた。

 立ち上がりは相手のコンビネーション良いパスワークの前にボールを奪いきれない部分があった。だが、先発右SBの小山新(3年)が「海外の選手なのでスピード感とかもあったんですけれども、前半の途中から慣れてきて、前半の後半は自分たちの流れになってきましたし、試合の中で相手の特長を上手く捉えられて改善できたと思います」と振り返ったように前半のうちに自分たちで対応。27分には敵陣でのインターセプトからショートカウンターで先制点を奪うなど、好守を良い攻撃に繋げていた。

 危ないシーンがゼロだった訳ではない。それでも橋本やMF住永翔主将(3年)が周りをカバー。年代別代表選手などを輩出しているという相手に得点を許さなかった。小山は「ずっと山田でやってきて後ろはゼロで行こうというのはチームの共通意識でした。今日は前線も4点取ってくれましたけれど、どんなに点差が開いても後ろがやることは変わらないと思うので、自分は前半で交代したんですけれども、良い守備ができたと思いますし、後半外から見ていても代わった選手が奮起してやってくれたので、チームとしてゼロで終わったのは良かったと思います」と語り、MF嵯峨理久(3年)は「(橋本)恭輔中心になってDFラインが代わってもゼロで行こうという意識は高かったのでそこは良かった。(鳴海)彰人からのスイッチは毎試合やらないといけないことで、彰人も前線からどんどんプレスをかけてくれて後ろは連動しやすかったし、前線からハメやすかったと思います」とチーム全体が役割を果たしていたことを喜んでいた。

 青森山田はプレミアリーグEASTの優勝争いが大詰めだった第17節の清水ユース戦から“優勝決定戦”となった最終節のFC東京U-18戦、プレミアリーグWEST優勝チームの広島ユースと戦ったチャンピオンシップ、そして全国高校選手権2、3回戦と5試合連続で完封勝利。選手権は決勝も無失点で終えるなどその守備の堅さが2冠の要因となった。連動した動きでブロックを崩さず、攻め込まれても相手選手の前に人が立ってゴールを隠し、PAに入られる前に止め、走り込んでくる選手にはしっかりと身体をぶつけて勢いを消す。今大会は主力CB小山内慎一郎(2年)らレギュラー4人を欠く中での2試合だったが、チームのコンセプトを徹底。もちろん、GK坪歩夢(2年)とGK飯田雅浩(1年)の好守に支えられた部分もあったが、何より大きかったのは誰が出ても個々、グループ、チームがやるべきことを全うしたことだ。ナイキアカデミーとの初戦を含めて180分間無失点と世界でも堅守を見せつけて青森山田はイングランド遠征を終えた。

(取材・文 吉田太郎)

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