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スイスからベルギーにステップアップの場を求めた理由、久保裕也がゲントで入団会見

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ゲントのホームスタジアムで入団会見に臨むFW久保裕也

 冬の移籍市場も終盤に来てFW久保裕也の移籍が決まり、26日にゲントのホームスタジアムで入団会見が行われた。

 スイス1部のヤングボーイズからベルギー1部のゲントという移籍は、正直なところ意外に感じる。スイスからのステップアップといえば、日本人が数多くプレーするドイツであったり、もしかしたらフランスであったりというパターンを想像する。だが、久保はゲントというベルギーの強豪を選択した。

「ポゼッションサッカーをするチーム。魅力的なサッカーをするなと」。久保はその理由を短く話す。一方、ゲントのイバン・デ・ウィッテ会長の言葉からは期待の大きさをうかがわせた。

「去年の夏からユウヤには注目してきた。そのときはヤングボーイズの事情もあって断念したが、ここで獲得できてとても誇りに思う。ユウヤのクオリティーを信じている」

 ゲントはファンハエゼブラウト監督の下、ポゼッションを重視しながら、流動的に変化する4-2-3-1システムを採用している。ロングボールに頼るサッカーではなく、つなぐサッカーの中でプレーしたかった久保にとっては、ネームバリューよりも目指す方向性の一致が優先事項だった。

 ゲントは交渉の段階で、ファンハエゼブラウト監督のプランの中でいかに久保が機能するかを具体的に説明したという。久保の代理人を務めるマウリツィオモラーナ氏は「ゲントのスカウトたちと会って話をしたら、我々よりも詳しくユウヤを分析し、知り尽くした上でオファーをくれた。あとはユウヤがどう判断するかだった」と明かす。

 久保はゲントに惹かれた理由をこうも話す。「サッカーの面で成長したい。成長できる環境だなと思って」。すると、横で会見に臨んでいた会長がすかさず横槍を入れた。「ユウヤ、成長したいと言うけれど、キミにはこのクラブを成長させてほしいんだよ」。会場内が笑いと和やかな空気に包まれる中、久保は真顔でこう返した。

「もちろんチームのためにプレーして、その先に自分の成長があると思っています」。早ければ29日にホームで行われるクラブ・ブルージュ戦からプレーが可能だという。望まれて移籍する心地良さと期待に包まれながら、久保の欧州挑戦第2章が始まる。

(取材・文 了戒美子)

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