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[新人戦]大黒柱不在も「いないから負けた」とは言わせない!鹿児島城西が龍谷に3発逆転勝ち!

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後半21分、鹿児島城西高は10番MF大脇瑞城が左足PKを決めて3-1

[2.10 九州新人大会予選リーグ第1節 龍谷高 1-3 鹿児島城西高 佐賀県総合運動場陸上競技場]

 平成28年度 第38回九州高校(U-17)サッカー大会(九州新人大会)が10日、佐賀県内で開幕。予選リーグ第1節が行われ、開催地・佐賀第1代表の龍谷高と1月の全国高校選手権16強の鹿児島城西高(鹿児島2)との一戦は鹿児島城西が3-1で逆転勝ちした。

 立ち上がりは経験したことのないような雪上での試合に戸惑ったが、前半のうちに立て直した鹿児島城西が逆転勝ちした。試合開始2、3時間前ほどに降り出した雪。それは徐々に強まり、あっという間にピッチを白く覆った。九州勢、特に南国・鹿児島の鹿児島城西の選手にとってはほぼ経験したことのないような、雪上サッカー。その試合開始直後に鹿児島城西は失点してしまう。

 龍谷の10番MF横山順主将(2年)の絶妙なパスで相手の背後を突いたFW矢上駿(2年)が右足で先制ゴールを流し込む。本格強化4年目で九州大会初出場の龍谷がいきなり初得点。太田恵介監督が「最初10分で点取るという狙いを持ってやったので、入りのところで雪もあったし、背後背後で行こうというのは狙い通りだった」という形でリードを奪った。

 鹿児島城西は雪のピッチでバウンドしたボールの跳ね方にディフェンス陣が慣れないうちにリードを奪われた。龍谷はさらに畳み掛ける。3分にも横山がDFラインのわずか後方へパスを通し、矢上が決定的な左足シュート。だが、九州屈指の守護神、鹿児島城西GK泉森涼太(2年)から連続ゴールを奪うことはできない。

 逆に鹿児島城西は11分に左CK後の混戦から注目MF大脇瑞城(2年)がシュート。これがDFにクリアされる前にゴールラインを越えたという判定で1-1の同点となった。鹿児島城西は相手のロングボールへの対応が安定せず、23分には右サイドを日高諒也(2年)に抜け出されるなどピンチも。だが、慣れとともに守備の安定感が高まると、サイド攻撃で後方の選手が追い越す動きを繰り返すなど、活動量多い攻撃で流れを引き寄せる。

 後半4分にはMF山田清貴(2年)の左CKをファーサイドのCB多持翔真(2年)が頭で折り返し、これをFW津留優晴(2年)が右足で決めて2-1。その鹿児島城西はベンチから再三「蹴らせるな!」という声が飛んでいた。小久保悟監督が「(相手は)長いボールが多くなっていたのでそこを抑えに行こうと。風上に立って相手のボールも伸びないので。奪うことができて相手のコートで試合ができたと思います」と説明したように、津留を筆頭とした前線からプレッシングで相手の攻撃を封鎖。敵陣に押し込んで試合を進めていく。

 また、先発のレフティーが5人という鹿児島城西は左SB鎌田悠斗(1年)が積極的な攻撃参加から左足クロスへ持ち込むなど左サイドからの攻撃で追加点を狙っていく。そして21分には左サイドからPAまでボールを運び、大脇がPKを獲得。これを大脇が自ら左足で決めて3-1とした。龍谷は前半半ばからボールを繋ぎに出たが、そこでミスが出てしまって流れを失う展開に。鹿児島城西のハイプレスの前に良い形でボールを蹴らせてもらえず、また攻撃に積極性を欠いたこともあってゴールから遠ざかってしまった。

 60分間の試合を走りきって3-1で勝利した鹿児島城西は今大会、1年時から主力のCB生駒仁主将(2年)がU-18日本代表スペイン遠征のために欠場している。戦力ダウンを強いられているが、選手たちの目標は生駒がいない状況でも勝ち上がることだ。小久保監督は「他の選手も精神的な部分の成長にもなると思う。アイツに頼ってばかりではいけないというのがある」と期待。そしてキャプテンマークを巻いた津留は「みんなも(生駒)仁が代表に行けることは嬉しいと思うんですけど、悔しい部分もあると思う。自分もそう思っていて、自分もあの場所(代表チーム)に行けるように、活躍して結果を残すことを大事にしてやっていきたい」と誓った。

 世代を代表するCBとして注目され、成長を遂げている生駒に刺激を受けている部分ももちろんあるが、負けたくない気持ちは非常に強い。現在選手権鹿児島県予選3連覇中で県外、関西からもタレントが集まるようになってきている鹿児島城西。実力派たちが居並ぶチームには意地もある。今後、全国で上位へ勝ち上がるチームになるためにも選手層の厚みを増し、主軸不在でも勝つことは重要。今大会、「生駒がいないから負けた」とは絶対に言わせない。

(取材・文 吉田太郎)

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