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[新人戦]強くて、応援されるチームだった昨年のように。熊本国府は2戦連続無失点で決勝T進出した一方、悔し涙も

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佐賀学園高の攻撃を攻撃を身体を張ったディフェンスで食い止めた熊本国府高

[2.11 九州新人大会予選リーグ第2節 熊本国府高 0-0 佐賀学園高 佐賀県総合運動場陸上競技場]

 平成28年度 第38回九州高等学校(U-17)サッカー大会は11日午後、第2節を行い、熊本国府高(熊本1)と佐賀学園高(佐賀2)との一戦は0-0で引き分けた。降雪の影響でこの日行われる予定だった予選リーグ第3節は中止。第2節までの結果によって予選リーグの順位が決定し、2分の熊本国府がブロック2位で決勝トーナメントへ駒を進め、1分1敗の佐賀学園は3位で予選リーグ敗退となった。

 決して簡単な試合ではなかった。チャンスをつくった一方で、異質な感覚を持っていたレフティー10番MF中島廉史(2年)を中心に攻める佐賀学園のテクニカルな攻撃にシュート、クロスまで持ち込まれるシーンがあった。それでも熊本国府は佐藤光治監督が「意外と頑張っている。去年の方がもっと良かったと思いますけれど、そう言われないように頑張っている」という守りが崩れず。勝ち切れなかったものの、2試合連続の0-0ドローで予選リーグを突破した。

 左サイドで素材感あるボールキープを見せていた10番MF井手口凌我(2年)やエースFW字室航平(2年)を起点に両ワイドからの崩しや相手の背後を突く熊本国府に対し、佐賀学園はドリブル、ダイレクトでのラストパスを狙う中島にMF東虎太朗主将(2年)やMF吉田正輝(2年)が絡んだ攻撃で攻め返す。

 熊本国府は後半10分、MF野口将来(2年)の展開からMF大津幸太朗(2年)とSB洲崎大地(2年)のコンビで右サイドを破ってファーサイドの井手口へクロスが通すが、佐賀学園がファウルすれすれの厳しいチェックでボールを奪う。その後も熊本国府はFW永井淳也(1年)や井手口が左サイドからのドリブルで切り崩しにかかり、字室が再三オフサイドにかかりながらも一発を狙い続けていた。

 得点を奪えない熊本国府に対し、決勝トーナメントへ進むためには勝つしか無い佐賀学園も終盤にFKを増やしてゴールをこじ開けようとする。だが、高さあるCB鶴与志郎(2年)やCB重村孝太(2年)がその攻撃を跳ね返し、GK杉本丈紘主将(2年)が相手と接触しながらもハイボールを阻止するなど、身体を張った守りも見せた熊本国府は1点を与えず。準々決勝進出を決めた。

「相手の選手に特長のある選手が結構揃っていたので、その特長を消しながら、自分たちの得意な守備をやろうと考えていました」と杉本。失点しなければ負けないという共通意識を持つチームは、相手の必死の攻撃にも飲み込まれなかった。

 県内2冠を達成した昨年のチームからは学ぶべきことが多かった。全国クラスの評価を得ていたディフェンスやサイド攻撃など高い実力を備え、ピッチ外では震災復興のためにボランティア活動に奔走。3年生は引退後の今月もボランティアで仮設団地の子供たちと交流サッカーを実施して多くの笑顔をつくった。杉本は「去年の先輩が周りの人たちから応援されるチームをつくっていた。ピッチ以外の挨拶とか立ち振舞とか大事にしていきたい。昔から国府を応援してくれている人たちがいるんですけど、その人たちの信頼を裏切らないように」と力を込める。
 
 この日は最低限の決勝トーナメント進出を決め、佐藤監督は「2位通過ですけど。しっかりと次に繋がる。また、良いチームとできるので楽しみです」。ただし、ピッチでは自分たちの力を出し切ることができず、コーチ陣からピッチ外の振る舞いを指摘された。悔しさ、不甲斐なさのあまり涙する選手たちも。強くて、愛されるチームを作り上げた先輩たちの背中を見てきたイレブンはそれに負けないように、これまで自発的に取り組んできた。一方で現在、勝ち切れない原因となっている可能性のある甘さを改善して、より強いチームを作り上げる。

(取材・文 吉田太郎)

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