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[MOM424]関東B・北信越GK田中雄大(3年)_持ち前の“叫び”は封印も、殊勲のPKストップ!勝負強さ示す

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PKでシュートストップする活躍を見せた関東B・北信越選抜のGK田中

[2.17 第31回デンソーカップチャレンジサッカー刈谷大会 関東B・北信越0-0(PK4-1)北海道・東北選抜 刈谷]

 PK戦に強い守護神がまたしても勝利を引き寄せた。関東B・北信越選抜は0-0の末にPK4-1で北海道・東北選抜を下し、初戦を突破した。PK戦では関東B・北信越のGK田中雄大(桐蔭横浜大3年=青森山田高)が抜群の読みを見せたうえ、相手4人目のシュートをストップ。勝負強さを示した。

 試合後、殊勲の田中だが「自分が結構シュートを止めまくって、失点0というわけではないので。キックミス2つとキャッチミス1つがあった。そういった意味ではCB二枚を中心に身体を張ってシュートストップをしてくれた。そこが失点0につながった要因かなと思います」とひたすら仲間に感謝していた。

 田中は4強入りした今夏の総理大臣杯でもそうだったように、PK戦の際にはいつもキッカーへ向けて、「っしゃー!来い!」と声でプレッシャーをかけるのがお決まりの形。しかし、相手キッカーの“視覚と聴覚に訴えかける”叫びは、この日は封印された。PK戦へ入る前、相手守護神とともに主審へ呼ばれ、「この大会はこういうところに気をつけて、お互いに気持ちよくプレーしましょう」とけん制されたのだ。「1人目ではやっちゃおうかなと思ったのですが、先に言われて禁止されてしまったので……」。いつもならば一人目で叫んだ後、注意された場合に“封印”してきたが、先手を打たれてしまった。

 それでも経験豊富なGKは、冷静に目の前のキッカーに集中。「自分は捻って蹴ってくるのか置きに来るのか、そこをまず読んで。その上で最後の最後に助走で判断する形」。後攻の相手一人目のシュートはクロスバーを叩き、2人目のシュートはコースは読んだが止められなかった。それでも4人目のシュートをストップした。

「今日は北海道・東北選抜さんもすごく勝利にこだわっていたので。そういうなかで軽いキックはできないと思っていました。自分から見て右へ強く蹴ってくるかなと予想していたのと、止めたキッカーの人は今までと雰囲気や入り方も違ったので、あれは置きにくるかなと判断したら、読みが当たりました。良かったです」

 ぎりぎりまで動かずに耐えると、ルーキーMF小川達也(北海道教育大岩見沢校1年=履正社高)のシュートを難なく止めた。味方は4人全員が決めたことでPK4-1で勝利。初戦を突破した。

 青森山田高時代から貫いてきた“視覚と聴覚に訴えかける”という部分は封印されたが、守護神は仕事を全う。とはいえ貪欲なGKは「GKはPK戦で3本止めて仕事したと言えるので、ほぼコースは読んでいたのですが、やっぱり3本は止めたかった。プレーの内容も良くなかったので……」と自身のプレーをひたすらに反省する。

 2017年は田中にとって、大学ラストシーズンだ。昨年は桐蔭横浜大史上初の総理大臣杯4強入りを成し遂げるなど結果も出したが、リーグ戦では幾度も首位に立ちながら、結局は残留争いに転落。10位でフィニッシュした。今季は同じ轍は踏まないつもりでいる。

 守護神は「大学ラストのシーズンなので結果を出さないといけない1年。きょうのようなミスをしてしまうと安定感がないと見られ、自分の評価を落とすことになる。もっと結果にこだわって、技術や気持ちの部分を確立して、この1年を戦っていきたい」と力を込めた。GKとして安定感へのこだわりを胸に、まずは関東B・北信越選抜で結果をつかみとる。


(取材・文 片岡涼)
●第31回デンソーカップチャレンジ刈谷大会特集

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