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[新人戦]「少しずつ今年らしさが出てきた」岩崎卒業の京都橘、目指すはチーム全体での崩し

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新生京都橘高の中軸として期待されるMF河合航希

[2.19 京都府高校新人大会準々決勝 京都橘高 5-0 大谷高 太陽が丘陸上]

 平成28年度 京都府高校新人大会は19日に準々決勝を行い、前年王者の京都橘高と大谷高との一戦は、前半16分にDF松下廉(2年)が決めた先制点を皮切りに5得点を奪った京都橘が5-0で勝利した。

 本来ならばこの日は決勝戦を行うはずだったが、先週末に開催予定だった2試合が天候不良のため延期となり、行われたのは準々決勝。日程の関係上、ベスト4を決めて大会を終えることになった。「京都3冠を目指していたけど、いきなり無くなってしまった」とFW輪木豪太(2年)が苦笑いしたように目標としていたタイトルはなくなったものの、京都橘の選手たちに気落ちした様子は見られず、序盤から主導権を握って試合を進めた。だが、攻撃の判断が悪く、シュートまで持ち込めない。それでも、16分にはエリア左でFKを獲得すると、MF河合航希(2年)がゴール前に入れた浮き球を松下が頭で叩き込んだ。

 喜びも束の間の19分には危ない場面が訪れた。大谷は中央でFW大森天斗(2年)のポストプレーを受けた河合充(1年)が左へパスを通すと、MF池田龍生(1年)がドリブルでDFをかわしてゴール前に出る。京都橘はGK高木上総介(2年)が飛び出し、突破をブロック。こぼれ球を拾った大谷・河合が角度の無い位置からゴールを狙ったが、シュートは左に逸れた。

 京都橘は「あの場面でGKが一度、止めてくれたのが大きかった」と米澤一成監督が称えるビッグセーブでピンチを凌ぐと、28分には右からゴール前に低いクロスを展開。一度は相手DFに渡ったが、クリアがもたついた所を奪うと、MF篠永雄大(1年)がゴールネットに流し込み、2点リードで試合を折り返した。

 後半も前半同様に足元の技術で上回る京都橘のペースで試合が進んだが、反撃に出た大谷の勢いに翻弄される場面も見られた。大谷は4分、右サイドを上がったDF山田篤(2年)のパスからPA右に走り込んだMF山下翔大(1年)がシュート。GKが弾いた所を河合が押し込んだが、京都橘はDFがかろうじて跳ね返した。京都橘は危ない場面を何とか抑えて無失点を続けると、16分には再びセットプレーからチャンスが到来。前半同様、河合がゴール前に低く入れたFKを輪木が頭で合わせて3点目を奪った。26分には中央をドリブルで突破した輪木のこぼれ球を篠永が奪い返すと、ゴール左隅に強烈な一撃を決めて、点差は4点に。終了間際にも輪木がヘディング弾を決めて、終わってみれば5-0で試合を終えた。

 京都橘は選手権予選5連覇を達成した昨季のチームからU-19日本代表FW岩崎悠人とFW堤原翼の二枚看板が卒業。守備も入学当初から定位置を掴んできたGK矢田貝壮貴がチームを離れ、今年は1からのチーム作りを余儀なくされている。初陣となった今大会は、「これまでのやり方が染みついていたけど、もう彼らはいない。これまでみたいにダイナミックにゲームが運べないので、今年なりの良さを出さないといけないと思っていた」(米澤監督)。

 岩崎のように苦しい状況を一人打破できる選手がいないため、目指すのはチーム全体での崩し。新チーム結成後は、2年生が日替わりでキャプテンを務めるなどして、互いをカバーする精神を養ってきた。この日も素早いパス回しで、サイドを揺さぶる場面が見られるなど、「少しずつ今年らしさが出てきた」(米澤監督)と一定の評価を授かったが、更なる上を目指すためには、突出した個の台頭も必要だろう。

 期待される一人はこの日、キャプテンマークを託された河合。米澤監督は「2年生で試合に出て先輩に自由に一生懸命やらせてもらっている立場とは違って、今年はチームをどう導くべきか考えながら自分だけでなく、プラスアルファも出さなければいけない。それができれば大きく成長できるし、ゲームを作るだけでなくチームの本当の軸にならないといけないので、プレッシャーをかけている」と期待を口にする。

 河合自身も「チームとして勝ちたいけど、個人としても目立っていきたい。チーム状態が悪い時でも、流れが作れるようになりたい」と自覚が芽生えつつある。彼だけでなく、この日は不在だった昨年の10番MF梅津凌岳(2年)や、2点ずつ奪った輪木や篠永など楽しみな存在は多く、岩崎に続くスター候補が今年も出てくる可能性はある。集団の中から誰が抜け出すのか。チームの行方と共に個の成長に期待がかかる、見どころの多い一年が始まった。

(取材・文 森田将義)

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