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与えられた“自由”をどう活かすか、悩む全日本大学選抜…「もっとチームにならないと」

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デンチャレでは準優勝に終わった全日本大学選抜

 大学の地域選抜対抗戦である第31回デンソーカップチャレンジサッカー刈谷大会決勝で全日本大学選抜は関東選抜Aに1-2の逆転負けを喫し、準優勝で終えた。3試合を戦い、15得点4失点。攻撃ではストロングもみせたが、連携面や守備面では課題を露呈。大会後、選手たちは「もっとチームとして戦わないと」と口を揃えた。

 全日本大学選抜はユニバーシアード日本代表の前身チームにあたり、現在は強化の真っ最中。今年8月に大学の国別世界一決定戦であるユニバーシアード競技大会が控えている。デンチャレで一定の成果や、チームとしての“形”を示したいところだったが、物足りなさの残る幕切れだった。

 宮崎純一監督の率いる全日本大学選抜は、個の能力を最大限に引き出すことに重きを置いており、細やかな戦術やチーム内でのいわゆる“決まりごと”はない。「いる選手が好んでやるサッカーをする」と話した指揮官は「基本的に試合に勝つためにはゴールを取らなきゃいけないし、取られたらボールを奪うし、ゴール前でシュートを打たれたら防がないと勝てない。究極の部分だけをベースに置いて、それをどう遂行していくかを伝えている。それに対して相手や時間帯、場所でどういう風な対応をするかは、選手たちの判断に委ねている。基本的には彼らがクリエイトするスタイル」と説明する。

 判断を任された選手たちは、各々ピッチで考えてはボールを追った。しかし、今回のデンチャレでは、それぞれが得意なプレーに終始してしまい、連動性に欠けた。『チームのために自分の武器を出そう』という姿勢は『やりたいプレーだけをする』という側面ばかりを強調させた。

 キャプテンのMF重廣卓也(阪南大3年=広島皆実高)は「チームとして今はルールがあるようでないので、個性を出す、持ち味を出すというのも必要ですが、まずはチームのために自分を犠牲にしてでも、何か役立つことがもっともっとあると思う。自分を出すのは、その後でもいい。本当に勝つチームにするためには、まずチームのために守備も攻撃も、ピッチ外のところもチームのことを思って行動するのが大切だなと思います」と殊勝に語る。

 これには守備陣を統率するDF鈴木準弥(早稲田大3年=清水ユース)も同調。「チームになれていないという感じが強くて。今大会を通してバラバラだったかなと感じています」と言い、「もっとチームにならないといけない。一人ひとりが個人のことしか考えていない。そのなかで、こいつに受けさせるために自分が動いて犠牲になろうとか、チームのためにどれだけ動けるかというのは、まだまだ甘い。戻るところを少しサボっている選手もいれば、ふわっとしている選手も、自分も含めてそういうシーンがあったので……」と振り返った。

 与えられた“自由”はあくまでチームのために、勝利のために、今すべきことを最優先にやるという大前提があってのこと。ユニバ本番まで半年もない状況。全日本の前線には磐田内定のFW中野誠也(筑波大3年=磐田U-18)やFWジャーメイン良(流通経済大3年=流通経済大柏高)、FW山口一真(阪南大3年=山梨学院大附高)、FW矢島輝一(中央大3年=FC東京U-18)や、FW旗手怜央(順天堂大1年=静岡学園高)など、豊富なタレントが揃っている。「自分の良さを出す」ということばかりに囚われずにプレーすることで見えてくるものもあるはずだ。

 今月26日から3月9日にかけて、全日本大学選抜はドイツ遠征を行う。デンチャレのメンバーからは若干の入れ替えがあり、新たにMF守田英正(流通経済大3年=金光大阪高)、DF鳥海晃司(明治大3年=千葉U-18)、DF菊池流帆(大阪体育大2年=青森山田高)が加わった。デンチャレでは守備が不安定だったこともあり、いずれもCBを務めることができる3人には大きな期待がかかる。

 これまではDF今津佑太(流通経済大3年=流通経済大柏高)と鈴木のCBコンビが主軸だったが、今回のデンチャレでは負傷で今津が不在。初招集のDF宮大樹(びわこ成蹊スポーツ大3年=清明学院高)が鈴木とCBを組み、必死に駆けずり回っていたが経験不足は否めなかった。ドイツ遠征や日韓定期戦を通じては、CBの組み合わせを模索することになりそうだ。

 宮崎監督は「(守備面での)高さや強さという部分は菊池や永石(GK永石拓海)をチームにフィットさせていきたい。韓国との試合などを経験していくなかで(失点数の問題は)解決できると、解決したいなと思います」と先を見据える。

 また、故障の今津を除き、ただ一人悔しすぎる“落選”となってしまったDF高尾瑠(関西学院大2年=名古屋U18)。立ち上げ時から主軸としてプレーしてきたが、昨夏の全日本大学選抜・台湾遠征に天皇杯の影響で参加できず。そこで初招集されたDF岩武克弥(明治大2年=大分U-18)にそのままポジションを奪われた。また新たに加わった守田が右SBをできることも、選外となったひとつの理由とみられる。

 新たに3選手を加えた全日本大学選抜。チームとしての成熟度を増すためにも、今回のドイツ遠征は絶好の機会。現地ではオスナブリュック(3部)、デュッセルドルフ(2部)、VVV(オランダ2部)と練習試合を行う。短期間でどこまで仕上げることができるか。

(取材・文 片岡涼)

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