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[新人戦]GK好守に阻止されるも…立正大淞南が中国決勝で“お家芸”のトリックFK!

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後半19分、立正大淞南高はトリッキーなFKからMF山口海都が右足シュート

[3.20 中国高校新人大会決勝 立正大淞南高 3-2(延長)岡山学芸館高 広島スタジアム]

 1-1で迎えた後半19分、会場がにわかに沸いた。立正大淞南高がペナルティーアークやや外側の位置でFKを獲得。MF松下昇太主将(新3年)とMF山口海都(新3年)がポイントに構えると、そのボールを相手GK、DFから隠すようにゴールを背にしたMF岩田大和(新3年)とMF福島颯斗(新3年)、そして右SB田中晃司(新3年)の3人がぴったりと並んでポジションを取った。

 直後、肩を組んだまま呼吸を合わせてゴール方向へ後進した3選手が一斉に前のめりにしゃがむ。その瞬間に山口が放った右足シュートがゴール右隅を捉えたが、ボールは岡山学芸館GK久保剛瑠(新3年)のファインセーブにあって、勝ち越しゴールとはならなかった。立正大淞南の“お家芸”とも言えるトリックFKは惜しくも失敗。松下は「GKにやられました」と微笑んだが、多彩なパターンのセットプレーなど相手にとって“何をしてくるか分からない”戦いをする立正大淞南の真骨頂とも言えるプレーだった。

 15年度の全国高校選手権決勝で東福岡高が全く同じトリックFKにチャレンジしてMF中村健人(現明治大)がゴール。全国放映されたテレビやSNSを通して試合中から話題となり、東福岡にはメディアから練習場で実演して欲しいという持ち込み企画の問い合わせもあったという。そのトリックFKは元々、15年全国高校総体準決勝で立正大淞南が東福岡戦で見せたFKを真似たもの。その試合に途中出場していた松下は「『あ、やってるわ』とテレビ見た時は思いました」と笑う。

 今回の中国決勝ではそのFKを立正大淞南の選手達がチャレンジ。成功こそしなかったが、松下は「自分達はなかなか流れの中から点決まることが少ないので、(後半25分にCKから決めた)竹中(響哉)のヘディングシュートもそうですけど、セットプレーには力を入れて取り組んでいきたい」と語っていた。
 
 なお、このトリックFK、一般的には立正大淞南が“本家”とされているが、松下によると、15年夏の桃山学院高(大阪)との練習試合で対戦相手がチャレンジしたものなのだという。「“本家”は桃山です。一昨年のインターハイ前の練習試合で受けて、『これは真似できるね』と」(松下)。そのFKを自分達流にアレンジして受け継いでいる立正大淞南は今回、得点できる武器であることを実証した。

 立正大淞南は中国決勝で岡山学芸館高に2度リードを許したが、切り替え速いゴールキックからの速攻と、CKからのゴールによって2度同点に追いつき、延長戦後半の決勝PKで勝利。セットプレーの強みを活かして中国制覇を果たした。松下は「今回ベンチ入っていた選手は17人で、もっともっと下から競争できる選手が増えていかないと強くなっていかないと思っています」と貪欲に成長して行く構え。CB竹中響哉(新3年)とCB山田祐太(新2年)という注目CBコンビを擁して全国上位を目指す立正大淞南だが、地区大会でも、全国大会でも、彼らのセットプレーからは目が離せなさそうだ。

(取材・文 吉田太郎)

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