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かつての仲間の背を追って…桐光学園出身ルーキー、立命館大FW鈴木太我がデビュー戦で決勝点!

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大学デビュー戦で決勝点という結果を残した鈴木

[3.22 第67回京都学生選手権大会準決勝 立命館大1-0京都大 立命館大原谷G]

 京都の大学No.1を決める第67回京都学生サッカー選手権大会の準決勝が22日に行われ、立命館大と京都大が対戦。後半38分に奪ったFW鈴木太我(新1年=桐光学園高)のゴールにより、立命館大が勝利し、26日に行われる決勝進出を決めた。

 並々ならぬ思いで大学サッカーの世界に身を投じたストライカーが、デビュー戦で結果を残した。序盤から地力で上回る立命が、持ち味であるパス回しで試合の主導権を握ると、MF中野匠(新4年=広島ユース)とMF鷺原拓也(新2年=大分U-18)の両翼からチャンスを演出。

 前半12分には、相手DF裏に落ちたロングボールに中野が反応し、ゴール前へ抜け出したが、GK山谷浩介(新4年=近大附和歌山高)の好セーブに阻まれた。以降も立命が見せ場を作りながら、フィニッシュの精度を欠いたため、主将のDF山崎康太(新4年=湘南高)を中心にゴール前を固めた京大の守備を崩せない。

 両者、無得点のまま前半を終えたが、立命大としては「想定内の展開。こういう展開になるのは分かっていた」(米田隆監督)と慌てた様子は見られない。「引いてこられるのは分かっていたけど、ロングボールではなく、僕たちのスタイルである足元で繋ぐサッカーを徹底しようと考えていた。なかなかゴールが奪えず、焦りもあったけど、いつか入るだろうと思っていた」(MF清水航輔、新4年=京都U-18)と後半もやり方は変えずに、じっくりと京大ゴールを目指した。

 一方で、守備は突破力で秀でた京大のレフティーFW吉田翔太(新3年=洲本高)のドリブルにかき回される場面もあったが、DF小松拓幹(新2年=阪南大高)を中心に冷静に対処し、無失点を維持。残り30分を切ってからはFW延祐太(新1年=JFAアカデミー)と鈴木をピッチに送り込み、攻撃のギアを上げた。

 「2月以降、新1年生が非常に持ち味を出してくれたし、それを遺憾なく発揮する心の強さも見せてくれた。結果の出し方も含めて、試合に出てもおかしくない状況だった」。米田監督がそう評するルーキー2人の投入はすぐさま成果として現れ、後半38分に左サイドから、MF山田泰暉(新3年=一条高)が送ったパスがPA内で混戦になると、自らの下にこぼれたボールを鈴木が冷静に決めて、先制に成功。この1点が決勝点となり、立命が勝利を手にした。

 鈴木はこの日が大学で初の公式戦。「何事も第一印象が大事。大学サッカーも入学前の2月、3月の出来が4年間を左右すると思っていた」という意気込みをゴールという結果で表現してみせた。桐光学園時代は点取り屋として期待され、3年生だった昨季はFW小川航基(磐田)の後釜として、9番を託された。しかし、「何もできない一年だった。結果が大事だと思っていたのに、点が奪えず焦ってしまい持ち味が出せなかった」ために、夏以降はスタメンの座を失った。

 チームとしても、ターゲットにしていたプレミアリーグ参入戦と選手権で結果を残せず。「ちゃんとした過程を積んできたつもりだったけど、結果が出せなかったら意味がないと気付かされた」。チームメイトの活躍も彼のハートに火をつけ、「同級生のDFタビナス・ジェファーソン(磐田)、GK茂木秀(C大阪)や、高校選抜に入ったMF鳥海芳樹など成功している選手を身近に見てきて、悔しい想いしかしていない」と口にする。

 彼らに追いつき、追い越すためには大学で大暴れするしかない。「ゴールでしか自分の存在意義を証明できない。今は1年目なのでプレッシャーはなく、『やってやろう』とか、『皆を驚かせよう』と思っていた」という意気込みを体現する活躍をみせたが浮かれた様子は見られない。

「ベンチに入って嬉しい気持ちはあったけど、周りを見ればプロに進んだ選手や、(鳥海)芳樹が高校選抜に入っていたので、浮かれていちゃいけない。試合に出て結果を残し、自分のポジションを掴んでやっとアイツらの背中が見えるはず」。デビュー戦のみの一発屋で終わることなく、得点を積み重ねることで、不動の座を狙っていく。

(取材・文 森田将義)

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