beacon

トップ下、ボランチ、右MF…激動の優勝PO初戦、久保裕也は“三刀流”で白星発進に貢献

このエントリーをはてなブックマークに追加

高い適応力を示したFW久保裕也

[4.2 ベルギーリーグ・プレーオフ1第1節 ゲント2-1クラブ・ブルージュ]

 ベルギーリーグは2日、プレーオフ1第1節を行い、FW久保裕也の所属するゲントはホームでクラブ・ブルージュと対戦し、2-1で逆転勝利を飾った。トップ下で先発した久保は、ポジション変更にも柔軟に対応しながら後半26分までプレーし、白星スタートに貢献している。

 ベルギーリーグは3月12日でレギュラーシーズンが終了。リーグ戦の上位6チームが半分の勝ち点(奇数の場合は繰り上げ)を持ち、優勝を懸けた「プレーオフ1」に臨む。リーグ戦を4位で終えたゲントは勝ち点25を持ち、勝ち点30で2位のクラブ・ブルージュとホームで対戦した。

 これまで3-4-3のシステムで戦うことが多かったゲントだが、プレーオフ1の初戦で奇策に打って出る。並びを4-4-1-1に変更し、左右のウイングを主戦場にしていた久保はトップ下へ。ゲント移籍後7戦5発とゴールを量産し、3月に行われたW杯アジア最終予選の2試合でもチームの全6得点中5得点(自身は2得点)に絡んだ23歳FWに新たな役割が与えられた。

 久保は最前線に構えるFWカリファ・クリバリーの後方で自由に動き回りながらボールを呼び込んでいたが、先制したのはクラブ・ブルージュだった。前半8分、PA内中央のFWウェズレイが右クロスに頭で合わせるも、右ポストを直撃。しかし、ウェズレイが跳ね返りを自ら拾い、右足でゴール左へ流し込んだ。

 ビハインドを負ったゲントも前半25分に追いつく。スルーパスに走り込んだMFサムエル・カルが右サイド深くからクロスを上げると、PA内中央の久保を越えたボールがファーのMFモーゼス・ダディ・シモンへ。シモンは右足で豪快なダイレクトボレーを放ち、ゴール右に決めた。

 前半28分には久保にもチャンス。PA内右で味方からのスルーパスを受けるが、コントロールし切れず、ボールはゴールラインを割る。さらに同42分、久保が後方からのロングボールに反応してPA内左に走り込むと、体を前に向けたまま右足の甲で巧みにトラップ。相手DFに体を入れられてフィニッシュには持ち込めなかったが、華麗なテクニックを見せた。

 ゲントは前半45分、今度はPA内右にロングボールを送り込むと、受けたDFサミュエル・ジゴが相手DFのハンドを誘い、PKを獲得する。逆転が懸かる重要なキッカーを任されたのは、同点ゴールを挙げたシモン。同アディショナルタイム1分、右足でゴール左を狙ったシュートは相手GKに読まれるも、それを上回る速度でネットに突き刺さり、ゲントが2-1と試合をひっくり返して前半を終えた。

 後半はゲントにとって波乱の幕開けとなった。後半2分に警告を受けたセンターバックのDFウィリアム・トロースト・エコングが、同5分にも相手の突破を手で止めてイエローカードを提示され、2枚目で退場してしまう。

 最終ラインが1人減ったゲントは、一時的にボランチのMFブレヒト・デヤーゲレをセンターバックに下げ、空いたボランチに久保を据えた。久保は急なポジション変更にも無難に対応。後半11分に右サイドハーフのカルに代えてセンターバックのDFトマス・フォケが投入されると、久保は右サイドハーフに移った。

 フォーメーションを4-4-1とし、数的不利の状況に耐えるゲント。防戦一方となるが、体を張ったディフェンスやGKロブレ・カリニッチの度重なるビッグセーブでゴールは許さない。

 ゲントは後半26分に久保とMFダニイェル・ミリチェビッチ、同30分に2得点のシモンとDFラミ・ゲルションを交代。5バック気味に変更し、逃げ切りを図る。その後もあわやというシーンを何度も作られたが、辛くもリードを死守したゲント。優勝へ向け、まずは1勝を挙げた。


●欧州組完全ガイド

TOP