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[MOM2091]清水ユースFW鈴木魁人(3年)_「やっぱりエース」。負傷明けで“岡崎慎司的”劇的決勝弾

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後半アディショナルタイム、清水エスパルスユースFW鈴木魁人が決勝ゴール

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[4.8 高円宮杯プレミアリーグEAST第1節 FC東京U-18 2-3 清水ユース 味スタ西]

「やっぱり最後はエースが決めてくれた」。平岡宏章監督の言葉には10番を託した男への“信頼”が詰まっていた。3-2で迎えた後半アディショナルタイム。清水エスパルスユースFW鈴木魁人はスローインの流れからこぼれてきたボールを見逃さず、巧みに持ち出して左足でフィニッシュ。劇的な決勝点を奪い、昨季準優勝のFC東京U-18を沈める原動力となった。

 もっとも、この開幕に至るまでの流れは平穏無事からほど遠かった。「昨年11月に左足、12月に右足を手術した」(鈴木)ため、開幕を前に長期離脱を余儀なくされた。実戦に戻って来たのは開幕2週間前。「何とか間に合った」(鈴木)とはいえ、本人にとっても、先発に置いた平岡監督にとっても、果たしてどこまでやれるのかという不安要素を残しながらの開幕戦だった。

 試合全体を通じてのパフォーマンスは決して良くはなかった。鈍った実戦感覚に加え、ゲーム体力も不足。後半に入ってからは“消える”時間も増えていく。平岡監督は「代えようかな」と何度も思いつつ、そのたびに思い直したと笑って振り返る。その理由は「何かやってくれる選手だから」という期待感であり、「ああいう選手のところにボールがこぼれて来るもの」という、ここに至る努力を知っていたからこその判断だった。

 後半アディショナルタイム、まさに最高のタイミングでボールはこぼれて来たわけだが、そこからのプレーは偶然の産物ではない。こぼれてくること事態を「予測していた」からであり、「トラップから自分の思うように動けた」のも、「狙ったとおりのシュート」を打てたのも、復帰を目指して積み上げてきたトレーニングの成果だろう。

「自分は足元もないし、スピードもあるわけではない」と語る10番が目標に掲げるのは、清水の大先輩である日本代表FW岡崎慎司(レスター)だと言う。こぼれ球に対する予測と反応や真摯な努力はもちろん、「本当に監督、スタッフ、チームメイト、家族、みんなに感謝したい」なんて言葉が出てくる点も含め、確かに“岡崎っぽさ”が十分だった。

(取材・文 川端暁彦)
●2017プレミアリーグEAST
●2017プレミアリーグWEST

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