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モナコとドルトムント、似た者同士にも相違点が…試合を支配するのはどちら?

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雌雄を決する両クラブ

 ドルトムントモナコは、歴史上一度も対戦したことがない。普段はブンデスリーガ、リーグ1を主戦場とする2クラブは、欧州の舞台でも顔を合わせる機会はなかった。

 チャンピオンズリーグでベスト8進出を決めた両チームは、準決勝進出をかけて、初対戦を迎える。しかし、ベスト16でもアウェーでの第1戦を落としながら、第2戦で逆転するなど共通点のある2チーム。抽選会の結果はあたかも特徴が似ているクラブ同士を対戦させようとしたかのようだ。

■そっくりなチーム方針

 第一に、両チームのクラブとしての方針にそれほど異なるところはない。設備の整った育成センターを有し、才能あふれる選手の獲得、また時には若いうちに見いだした選手をビッグクラブに高値で送りだしたり、経験ある選手を囲いこんだりもする。だからこそ、クリスティアン・プリシッチとキリアン・ムバッペ(ともに18歳でチームの生え抜き)や、ウスマン・デンベレとベルナルド・シウバ(ともに若手で、およそ1500万ユーロで獲得)のように、似た者同士の選手を見いだすことができるのだ。類似点は、両チームの評価を上げている最中の若手監督、トーマス・トゥヘルとレオナルド・ジャルディムにも見てとれるだろう。

 プレースタイルに関しても同じことが言える。両監督は今季、自身のチームを攻撃面で進化させてきた。比較的若い選手がスターティングイレブンに名を連ねる両クラブは、素早いカウンターと破壊力ある両サイドを使って前線へ突進していくことで、相手のバランスを崩すことを武器とする。ドルトムントのハンス・ヨアヒム・バツケCEOが、抽選会の結果を受けて発言した内容からも明らかだ。

「モナコは我々と似ているところがいくつもある。両チームとも、美しいサッカーを好むからね」

■プレースタイルには相違点が

 一方で、モナコのジャルディム監督が、手数をかけない縦に速い攻撃を好む指揮官だというのは、分析が大雑把過ぎるだろう。彼は聡明な実用主義者で、選手起用の能力が非常に高い。ジャルディム監督は途方もないアイディアとすら思われた選手起用をマンチェスター・シティとの第2戦で敢行。ファビーニョとティエムエ・バカヨコを、ピッチを支配すべくチームの中盤の底に配置して、敵の攻撃の芽を摘ませた。それだけでなく、2人はゴールも奪っている。「2人は敵に渡ったボールを何度も取り返してくれた。2人のおかげで、ボールを奪われても慌てることがなかった」と、シティ戦での勝利の後、チームメイトのバレール・ジェルマンが語っている。

 とりわけ、モナコはベスト8進出チームの中で、最も多く1対1のデュエルを戦ったチームであり、敵に対して強烈なフィジカル勝負を仕掛けている。素早く力強い両サイド(ジブリル・シディベとベンジャミン・メンディ)、2人の司令塔(トーマス・レマルとベルナルド・シウバ)、経験豊かなストライカー(ラダメル・ファルカオ)、成長著しい並外れた才能の持ち主(ムバッペ)といった選手たちが、どんなディフェンスをも打ち破れる攻撃を発動させる役目を担っている。

 ジャルディムに対してトゥヘルは、異なる方法でピッチの中央を固めようとしている。3バックと両サイドの選手で圧倒的に試合を支配してゲームを組み立て、ボールを奪う。平均ボール支配率は60%を超え、相手に攻撃のターンを与えない。激しいフィジカルバトルで肉弾戦を繰り広げるモナコとは一線を画するものだ。圧倒的なボールポゼッション率はベスト8に進出したチームの中で、ユベントス、バルセロナ、バイエルンに次いで4番目である。

 デンベレ、ピエール・エメリク・オーバメヤン、プリシッチといった強力な前線のタレントにボールを良い形で供給するため、ユリアン・バイグルはメトロノームの役割を与えられている。リズムよく試合を支配し、押し寄せる波のように敵を圧倒する、そのゲームスタイルは、モナコの特徴にうまく対応できるだろう。果たしてこの2チームの、いずれが支配する側となり、いずれが支配される側になるだろうか。

文=ユリアン・クエレン/Julien Quelen


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