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初先発のMF大塚が先制点&PK奪取!日本高校選抜がラストゲームでクルゼイロに3-0快勝!

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日本高校選抜は最終戦を3-0快勝。5位で大会を終えた

[4.17 デュッセルドルフ国際ユース大会5位決定戦 日本高校選抜 3-0 クルゼイロ]

 欧州遠征中の日本高校選抜は17日、第55回デュッセルドルフ国際ユース大会5位決定戦でクルゼイロ(ブラジル)と対戦。MF大塚諒(前橋育英高→立教大)、FW安藤瑞季(長崎総科大附高3年)、そしてMF松本泰志(昌平高→広島)のゴールによって3-0で勝ち、10チーム中5位で大会を終えた。なお、CB阿部海大(東福岡高3年)が大会のベストDF賞に選出されている。

 前日の予選リーグ最終戦でノアシュラン(デンマーク)に0-1で敗れ、決勝トーナメント進出圏内の2位以内から転落。グループ3位で5位決定戦に回ることになった日本高校選抜だが、チームとしての最終戦では支えてくれた人々への感謝を込めて「勝つこと」「楽しむこと」を目指して戦い、これまで出番の少なかった選手たちの活躍もあって見事に快勝を収めた。

 日本高校選抜はこの最終戦で右SB常盤悠(尚志高→新潟医療福祉大)、左SB渡邊泰基(前橋育英高3年)、そして大塚が初先発。4-5-1システムのGKは山ノ井拓己(静岡学園高→福岡)で4バックは右SB常盤、CB橋本恭輔(青森山田高→新潟医療福祉大)、CB阿部、左SB渡邊。ダブルボランチは今大会不動の金子大毅(市立船橋高→神奈川大)と住永翔主将(青森山田高→明治大)のコンビで右MFが飯島陸(前橋育英高3年)、左MFが鳥海芳樹(桐光学園高→桐蔭横浜大)、そしてトップ下が大塚、1トップを安藤が務めた。

 日本高校選抜は立ち上がり、電光石火の連続得点。主役は「(これまで)出れなかった分、爆発してやろうと思っていた。(敗退の)悔しさが俺たちには俺たちなりに凄くあったので、表現できたと思います」という大塚だった。前半3分、日本高校選抜は左サイドへボールを展開すると、縦へ持ち込んだ鳥海が左足クロス。これをゴールエリアへ飛び込んだ大塚が1タッチでゴールへ突き刺してリードを奪う。

 意地のゴールを決めた大塚中心に喜びを爆発させた日本高校選抜はその直後の4分、PA付近で粘った飯島が右前方の大塚へパス。距離を詰めてきたDFを切り返しで外した大塚がファウルで倒されてPKを獲得する。キッカーを任された安藤が右足でゴールへ沈めて2-0とした。

 幸先よく2点を先取した日本高校選抜はその後も攻撃面で良いところが出ていた。これまでの相手に比べて守備のプレッシャーのやや緩いクルゼイロに対し、日本高校選抜は安藤の力強い突破や右サイドを大塚、飯島、鳥海のトリオの連係で切り崩すなど個とグループで積極的な仕掛けを見せていく。

 クルゼイロも、個々のキープ力の高さを活かして反撃。日本は徐々に攻め込まれる回数が増えたが、終始運動量の多かった金子と住永をはじめ、抜群の対人の強さによって今大会のベストDFに選出された阿部と前日の悔しい1失点から立て直した橋本、そして初先発の常盤と渡邊の4バックも意識高い守りを見せ続ける。20分にはカウンターからピンチを招いたが、コースを突いたシュートをGK山ノ井がキャッチ。25分ハーフの前半を2-0で折り返した。

 後半、先に決定機を迎えたのも日本高校選抜の方だった。4分、安藤のキープを起点に連続攻撃を仕掛けると、鳥海の左クロスに飯島が決定的な形で飛び込んだ。この後はなかなかシュートチャンスを作ることのできなかった日本高校選抜だが、相手にもチャンスらしいチャンスを作らせない。

 11分には安藤、飯島、阿部に代えてFW伊藤龍生(米子北高→鹿屋体育大)、CB佐藤瑶大(駒澤大高→明治大)、左SB三国スティビアエブス(青森山田高→順天堂大)を同時投入。19分には渡邊に代えて松本を送り出し、これでピッチ上の11人は全員上級生(16年度の3年生)となった。

 19分にポスト直撃のシュートを放たれるなど我慢の時間もあったが、クロスへの対応やキャッチングが安定していた山ノ井中心に無失点を続ける。すると、後半ラストプレーで日本高校選抜は3点目を奪う。右サイドのスペースへ走り込んだ常盤がファーサイドへピンポイントクロス。これを左MF松本が頭でゴールへ押し込んで素晴らしいラストゲームを終えた。

 住永は「楽しめたと思います。(欠場したGK廣末陸を除いて)最後3年生全員でピッチに立てたのは嬉しく思います」と喜び、そして黒田剛監督(青森山田高)は「最後ピッチ上、全部3年生ということにして、3年生の高校生活最後の試合の機会にしたいなと思った。その中で最後得点が取れたということで終わり方としては凄く素晴らしかったなと思います」と頷いていた。

 今年の日本高校選抜の試合はこれで全て終了。18日にドイツを出発して帰国後、選手たちは高校、大学、そしてプロの世界でまたそれぞれが目標を持って、それぞれ力を磨いていく。今大会は5試合で3勝1分1敗、わずか1失点のみだったが、チームは5位。選手たちにも、スタッフ陣にももちろん悔しい思いがある。その中で黒田監督は「1点の怖さとか、一瞬の怖さとか、一本の怖さとかというものを選手たちも学習できたことが大きかったかな。そういうところが収穫。どのカテゴリーにおいてもサッカーをやっている以上は、そういった一瞬というものを大切にやってもらいたいなと思います」と選手たちにメッセージ。選手たちは予選リーグ敗退に繋がった1失点、奪えなかった1ゴールを糧に成長を遂げて今後、この欧州遠征以上に重要な状況でそれを守れる、奪える選手になる。

(取材・文 吉田太郎)
●日本高校選抜欧州遠征特設ページ

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