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プロとして目の前の勝負に集中。GK山ノ井は全2試合無失点で高校選抜の活動終え、福岡でのスタメン争いへ

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GK山ノ井拓己は2試合連続で無失点

[4.17 デュッセルドルフ国際ユース大会5位決定戦 日本高校選抜 3-0 クルゼイロ]

 総得点差によって決勝トーナメント進出、優勝の目標が絶たれた前夜、日本高校選抜には悔しさのあまり、気持ちが沈んでしまっているような選手もいたという。その中でGK山ノ井拓己(静岡学園高→福岡)は5位決定戦へ向けてひとり、集中力を高めていた。そして好セーブも見せてブラジルの強豪・クルゼイロ相手に完封勝利。今大会はGK廣末陸(青森山田高→FC東京)に続く2番手という立場だったが、Jリーガーとして目の前の試合に集中し、出場した2試合をいずれも無失点で終えて役割を果たした。

「5位6位決定戦は例年、あまり出ていない選手が出ているというイメージがあったので、昨日みんなが抜けちゃっている雰囲気もある中、自分は自分の部屋にいて、自分でモチベーションをしっかり作っていたので、そこがプレーに出たかなと思います」

 前半20分にはDFがかわされてPAから決定的なシュートを放たれたが、しっかりとキャッチ。押し込まれる時間の長かった後半にはクロスに飛び出してわずかに触ってヘディングシュートを乱したり、カウンターから放たれたシュートにもしっかりと対応していた。

 ゴールマウスに助かられたシュートも1本あったが、終始安定したプレー。「やっぱりゼロで抑えられたというのは一番嬉しいですし、内容もそんなに悪くなかったので、最後に良い形でしっかり締めることができて良かったです。(控えの立場で)悔しい気持ちももちろんありましたけれども、最後みんなで笑って終われたので。自信になった部分がありますし、自分はやっぱり、1対1のところは強みだと分かったんで、自分の長所が世界でも分かって良かったです」と笑顔を見せた。

 日本高校選抜としての最終戦となった5位決定戦は静岡学園高(静岡)の名前を背負ってのラストゲームでもあった。「最後ピッチに立てたんで良かったです。本当にこれで高校サッカー終了というか、引退試合みたな感じだったので蹴り納めできて良かったですね」。名門・静岡学園で成長を遂げてプロ入りを勝ち取ったGKは、名残惜しそうな表情も見せたが、すでに始まっているプロの世界での飛躍へすでに切り替えている。

「今回学んだことを練習に落としていって、そうしたらまた新たな発見があると思うので、そこは(福岡)GKコーチの山岸さんとすり合わせて、自分の形にできたらいい」

 念願だった日の丸を背負っての戦い。そこで得たものは大きかったと感じている。この経験を帰国後すぐに発揮しながら、目標のJデビューへ邁進する。

(取材・文 吉田太郎)
●日本高校選抜欧州遠征特設ページ


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