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「一世一代のチャンス」をものに、東京Vユース出身・順大GK佐藤久弥が王者・明大を完封!

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完封勝利に貢献したルーキーGK佐藤久弥

[4.15 関東大学1部リーグ第1節 明治大0-2順天堂大 味フィ西]

 チャンスはいきなりやってきた。東京ヴェルディユースから順天堂大へ進学したGK佐藤久弥(1年=東京Vユース)は関東大学リーグ開幕節・明治大戦で先発へ抜擢。昨季王者を相手に攻めの姿勢を貫き、完封勝利に大きく貢献した。

 開幕約1週間前の練習試合で主力GK佐久間幸一(4年=千葉U-18)が脳震とうに。GK中村研吾(4年=四日市中央工高)は就職活動などがあったため、堀池巧監督は急きょ佐藤を追加登録。開幕先発の座は、ルーキーに舞い込んだ。「あまり言えなかったですけど、心の中では一世一代のチャンスだと思いました。やるしかないと」。覚悟を胸に準備した。

 3日前の紅白戦では主力組に入ったものの、「ガッチガチになってしまって」、本来のプレーを出し切ることができず。それでも試合前日には先輩のFW旗手怜央(2年=静岡学園高)に食事に誘われ、「あまり慌てるなよ」など優しく声をかけてもらったという。「そういうのもあって、実際に試合には楽しめるような感じでは入れました」と振り返る。先輩たちに支えられ、落ち着いたメンタルで開幕戦を迎えた。

 実際の試合では、大学リーグデビュー戦というのが嘘のように、臆することなくプレーした。際どいボールにも果敢に飛び出してはキャッチ。堀池監督から「消極的なら使った意味がない。普通にやって、自分の良さを出せばいい」と言われたとおりに闘った。強風に悩まされ、思ったようにボールを飛ばせないシーンもあったが、集中力高くやり抜いた。

 0-0の後半15分には相手右サイドからの攻撃。至近距離でMF柴戸海(4年=市立船橋高)の折り返しからFW佐藤亮(2年=FC東京U-18)にシュートを打たれたが、冷静にブロック。こぼれを拾われたが素早い動き出しでコースを消し、相手のシュートは枠を外れた。

「あのときは本当に何も考えていなくて、ここに入れば止められるというポジションに入れたので、あとは上手く手を出して止めるだけでした。止めることができてよかったです」

 この場面は一つのターニングポイントだった。一番のピンチを防いだ順大は後半22分に旗手のゴールで先制し、同37分には追加点。2-0としたあとも佐藤は気を抜くことなくゴールマウスに立った。最後まで明治大を寄せ付けなかった順大は完封勝利を飾った。

 試合後、堀池監督は「スピードもあるし、判断も良い。足下も抜群」と1年生守護神を称え、「今日は久弥がチャンスをものにしましたけど。これが4年生や上級生のいい刺激になりますし、競争が生まれていけば」と語った。

 大抜擢の開幕戦を終えて安堵したのか、戦い終えた佐藤の頬は緩みっぱなし。終始顔を抑えながら、「素直に嬉しいです。にやにやしないようにしているんですけど、嬉しすぎて笑顔が出ちゃって……申し訳ないですけど、(笑顔が)止まらなくて。でもまだ開幕戦ですし、始まったばかり。優勝してから思いっきり喜びたいなと思います」と恥ずかしそうに話していた。

 ここから大学での4年間で酸いも甘いも知ることになるはず。「ユースのときはキックを中心にやってきましたけど、大学ではシュートストップというのをもう一度意識してやっていきたいなと思っています。練習の一つ一つから集中して、次もチャンスをもらえるように明日から準備したい」。そう話した佐藤はピッチの上と同じ精悍な表情を浮かべた。

(取材・文 片岡涼)

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