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[プリンスリーグ東北]山形ユースが退場者出しながらも、仙台ユースの猛攻凌いで「ユースみちのくダービー」制す

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GK高山颯斗(左)、MF吉田樹をはじめ、サポーターの前で勝利を喜ぶモンテディオ山形ユースの選手たち

[5.13 高円宮杯プリンスリーグ東北第7節 山形ユース 1-0 仙台ユース 東陽の里公園東陽G]

 13日、山形県白鷹町の東陽の里公園東陽グランド(山形県フットボールセンター)にてプリンスリーグ東北第7節が行われ、モンテディオ山形ユース(山形)とベガルタ仙台ユース(宮城)が対戦した。ユース年代の「みちのくダービー」ということで、山形側はサポーターが、仙台側もベンチ外の選手が熱い応援を繰り広げ、雨が降りしきる肌寒い天候ではあったが、熱気あふれる試合となった。

 山形ユースは第1節で仙台育英高、第2節で盛岡商高にいずれも引き分けたものの、それ以後4連勝で第6節終了時点で2位につけていた。一方の仙台ユースは開幕から4連勝していたが、その後遠野高、盛岡商と岩手県勢に連敗。前半戦での思わぬ連敗に、盛岡商戦直後はユース所属選手全員で緊急ミーティングを行うなど危機感を持ってこの試合に臨んだ。

 立ち上がりペースを握ったのは山形ユース。4月にトップチーム2種登録されたFW鈴木朝日(3年)が4分にファーストシュートを放ち、続く5分には鈴木のクロスからMF川俣大(2年)のシュートが惜しくもゴール右にそれた。

 一方の仙台ユースも13分FW荒井秀賀(3年)がGKの位置を冷静に見てミドルシュートを放ったが、山形ユースGK高山颯斗(3年)がパンチングでかき出した。続くCKではFW菅原龍之助(2年)のシュートがポストを叩いた。21分には山形ユースのU-15日本代表DF半田陸(1年)が右サイドから駆け上がってミドルシュートを放ったが、クロスバーを叩いた。互いに決定機はあったが決めきれず、0-0で前半を終えた。

 後半に入ると、山形ユースの鈴木が積極的にシュートを狙い、10分にはCKからファーサイドにいた鈴木がシュートを放つが、仙台ユースGK小田垣皓己(2年)がはじき返した。そして19分、DFライン背後に抜け出した鈴木がシュート。GKとDFが交錯したこぼれ球を拾ったのはMF仲嶋翔太(3年)。「朝日がシュートを打ってこぼれてくるかな、と思ったら予想通りだったので、あとは流し込むだけでした」と語ったシュートはポストに当たってゴールへと吸い込まれ、山形ユースが先制した。

 しかし、その直後の24分、山形ユースMF樋口蓮(3年)が警告を連続で受けて退場となってしまう。それでも、「あまり前に飛び込まずゴール前を固めろ、と監督から指示があったので、最後までゴール前を防ぐことができました」と山形ユースGK高山が語った通り、自陣ゴール前に人数をかけて仙台ユースの猛攻をはね返し続けた。最後まで体を張った守りを見せた山形ユースが1-0で勝利した。

 山形ユースは昨シーズンに続く、ホームでの「ユースみちのくダービー」勝利。「守備を献身的にやるのがうちの特長なので、みんなで協力してできました。仙台ユースはMF工藤蒼生(2年)のところが攻撃の起点で、MF粟野健翔(2年)や荒井など良い選手がいるので、中盤の動き方は練習しました」と今井雅隆監督は事前のスカウティング情報を練習で落とし込み、自慢の守備が機能したことを勝因として挙げた。「前半ボールを持ててはいましたが、攻撃をやりきれていません。シュートも枠に飛ばし切れていないのでまだ課題はあります。そのうち負けますから大丈夫ですよ」と笑って謙遜するが、昨シーズンの優勝争いの経験を生かし、今シーズンこそ悲願の優勝を成し遂げたいところだ。

 一方の仙台ユースはここ数年例のない前半戦での3連敗。今シーズンから指揮を執る原崎政人監督は、越後和男前監督時代以上に丁寧にショートパスをつないでビルドアップするサッカーを目指しているが、現状ではカウンターを受けたり、セットプレーで失点したりと、ミスが出ての敗戦が続いている。それでも原崎監督は「次節の青森山田(セカンド)さんは今、首位ですが、やることは変わりません」と現在、挑戦しているスタイルを継続する構えだ。山形ユース・今井監督も「仙台ユースを見ると、もう少し組み立てをしたいと思います」と仙台ユースのビルドアップには一目置いている。優勝争いから一歩後退したが、辛抱強くビルドアップを磨き続ける原崎監督の取り組みがどう実を結ぶか注目だ。  

(取材・文 小林健志)
●2017 プリンスリーグ東北

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