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なぜ本田圭佑はレバンテに求められるのか?スペイン人記者が語る獲得希望の根拠

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スペイン行きの可能性が報じられる本田圭佑

 今年も移籍市場の季節がやってくる。そして再び、本田圭佑の周辺が騒がしくなってきた。浮上してきたレバンテという可能性は、どれほど具体性のあるものなのだろうか? スペイン人記者が解説する。

「ケイスケはスペインに来るのだろうか?」

 シウタ・デ・バレンシア(レバンテのホームスタジアム)のオフィスを職場とする面々は日本代表のトップスターである本田に関する情報を頭に入れた後、そう考えているに違いない。レバンテは本田の獲得を望んでいる。

 彼らはセグンダ・ディビシオンで様々な記録を打ち立て、堂々とプリメーラ・ディビシオンへの昇格を勝ち取った。だが、それでも1部と2部ではレベルに差がある。新シーズンに向けて所属選手のクオリティを大きく向上させる必要性に迫られているのだ。

 そのプロジェクトの一環として、クラブはこの日本人MFの獲得を狙っている。

■本田の獲得を望むワケ

 レバンテの会長を務めるキコ・カタラン氏は、来季に向けて6000万ユーロ(約74億3000万円)の予算を準備していると表明している。そして当然のことながら、本田がミランとの契約を今夏で終え、フリーになることを把握している。つまり、獲得を目指せる状態にあるといえるわけだ。

 レバンテは一部で競えるだけの戦力を整えなければならない。スポーツディレクターを務めるティトが「8人の新戦力を補強する」と具体的な数字を出しながら、補強策に関して言及しているほどだ。特に前線の選手を獲得するために、集中的に資金をつぎ込むことになるだろう。クラブはゴールとクリエイティビティの重要性を重々承知しているためだ。

 本田はサイドでもトップ下でもプレーできる。チャンピオンズリーグやセリエAでプレーした経験を持ち、メディアへ対する影響力も抜群だ。攻撃陣をけん引する主役級のタレントとして申し分ない。レバンテはレッドカーペットを敷いてこの日本人選手を待っている。それどころか、本田を中心に据えたプランを提案する可能性すらある。というのも、クラブはスペインのトップリーグで躍進するため、将来の明確な展望を立てている。端的に言えば、レバンテは本田をクラブの新たな“顔”として欲しているのだ。

 いくらそれなりの補強費を準備しているとはいえ、資金面ではイングランドやドイツのクラブにかなわない。しかし、プレーという意味において、レバンテは本田により多くのものを提供できる準備がある。

 ただし、移籍が実現するためには本田の意思も重要になる。本田の獲得に興味を示すクラブが複数あることは周知の事実だ。巷ではブンデスリーガやセリエAのクラブへの移籍がうわさされているし、アメリカやオーストラリア行きの可能性すら報じられている。年齢的にキャリアのピークを迎えている時期ということもあって、選手側がより良い条件の契約を望むことは当然のことだ。

 だからこそ、もし本田がスペインでプレーしたいと希望するのであれば、真剣に自分の意思をクラブに伝えていく必要があるだろう。

■レバンテで再生した選手たち

 本田にとってレバンテが移籍先として好ましい理由を挙げるとするなら、一つは輝きを失った選手を再生させてきた実績があることだ。

 例えばマンチェスター・シティを放出されたフェリペ・カイセドのことは誰もが覚えているだろう。膝を2回手術して引退まで囁かれていたアルナ・コネも、レバンテで17ゴールを決める素晴らしいシーズンを過ごし、ヨーロッパリーグへの出場権を置き土産にプレミリーグへ渡った。ルビン・カザンに“都落ち”していたオバフェミ・マルティンスもレバンテで再起したし、ケイラー・ナバスに至っては今やレアル・マドリーの一員としてチャンピオンズリーグの決勝に2年連続で進出している。

 本田はキャリアのピークにあるものの、ミランでは出場機会を失っている。だが、まだ老け込むような年齢ではない。一定の出場機会が得られたならトップレベルで活躍するポテンシャルを持っているはずだ。ミランよりピッチに立つ機会は多くなるだろうし、彼にとっても悪い選択肢ではないだろう。

■クラブが本田を狙うもう一つの理由

 レバンテとしてはもう一つ、本田の獲得にメリットを感じている。クラブは1部リーグにとどまり続けるために、国際化が重要だと認識している。本田が加われば国際化が一気に進む可能性がある、と期待を寄せているわけだ。

 レバンテは今までにも獲得リストに複数の日本人選手を入れてきた。例えばインテルで左サイドバックを務める長友佑都の獲得が目前まで迫っていたこともあった。当時は長友本人とも合意していたと言われている。しかし、インテルの守備陣にけが人が続出して野戦病院と化していたことから、最後の最後でロベルト・マンチーニ監督(当時)がストップをかけたのだった。

 実現しなかったとはいえ、レバンテは今も国際化の野望を持ち続けている。今やアジア人ファンは、ヨーロッパのフットボールシーンにおいて無視できない存在になっているからだ。アジア人ファンがもたらす上昇気流に乗れれば、未来への展望はより明るいものになっていく。

 レバンテは決して裕福なクラブではない。しかし、ケイスケ・ホンダの獲得を望む理由は十分にあり、彼に多くのものを提供できるクラブなのだ。

文=ミゲル・アンヘル・ロドリゲス/Miguel Angel Rodriguez
取材協力=江間慎一郎

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