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[MOM440]慶應義塾大GK上田朝都(2年)_“荒鷲の砦”が筑波大封じる!前出る守備で好セーブ連発

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慶大の守護神・上田は好セーブを連発した

[5.14 関東大学L第5節 筑波大0-0慶應義塾大 味フィ西]

 2年生守護神は堂々とゴールマウスに立つ。慶應義塾大筑波大とスコアレスドロー。勝ち点1を分け合った。筑波大にシュート19本、CK17本、FK18本を浴びたものの、最後まで集中力高く戦い抜いての結果。なかでも慶大GK上田朝都(2年=横浜FMユース)は臆することなく前へ出るセーブで今季初の“完封”に大きく貢献した。

 試合後、敵将である小井土正亮監督は「今日だったら勝たないと……。しっかりと点を取るというところでいうと、あとは決めるだけというところで相手のGKを褒めるしかないと思います」と上田を称えた。それだけ好守の光った一戦だった。

 立ち上がりから終了のホイッスルが鳴るまで、慶大は果敢にプレスをかけては、文字通り“闘った”。須田芳正監督が「最後に身体を張るとか、1cmでも詰めてシュートコースを消すとか気持ちがあった」と言うとおりだ。CBの沼崎和弥(2年=暁星高)、岩崎湧治(3年=仙台ユース)とともに守護神は奮闘。

 前半23分には右クロスからファーに飛び込んだMF西澤健太(3年=清水ユース)にシュートを許したが、正面でキャッチ。同39分には西澤の右CKからFW中野誠也(4年=磐田U-18)に頭で合わされるもしっかり止めた。近距離でのFKにも、迷いなく前へ出ては手中に収めた。ハイボールへの対応に強さを示した。

 後半に入り、立て続けにセットプレーを与えるシーンもあったが上田はぶれない。味方が身体を投げ出してはシュートコースを限定したことで、落ち着いてポジションを読んでは止めた。この日一番の見せ場は後半25分。左サイドから押し込まれ最後はPA右の中野に打たれたが腕でブロック。こぼれを拾われたが、今度は右足を伸ばして弾いてみせた。反射の良さでピンチを凌いだ。終盤に怒涛の攻撃を受けたものの、しのぎ切り、0-0で試合は終了。2連勝はならなかったが好ゲームを演じ、今季初の無失点で勝ち点1を重ねた。

 試合後、上田は「自分の武器であるシュートストップを活かせたと今日の試合では思うので、その点では良かったなと思います」と言いつつも、「それでも細かいところ、最後のところでキックが乱れたり、修正点が出てきたので直していければ」と反省。

 多くのセットプレーを振り返っては「セットプレーのキッカーがかなり良くて、僕も出ずらいボールも多かった。毎回(相手に)叩かれていましたし、いつか来るんじゃないかと……。それでも小谷くんの顔面に当たった場面もあったように、ああいうのに助けられました。真ん中でトシ(北城俊幸)とかが声を出して、守ろうと意識を持っていたので。そこはみんなを信頼していますし、ちゃんと身体をつけてくれていたから、自分も反応できていたので良かったと思います」と仲間への感謝も忘れなかった。

 開幕戦こそ白星スタートを切った今季の慶大だが、その後に2連敗。第2節・東京国際大戦(0-3)では上田の果敢な姿勢が裏目に出てしまい、失点にもつながってた。2連敗後こそ「そろそろやばいです……」と口にしていたものの、それでも自身を見失うことはなかった。第4節で開幕戦以来の白星を手にすると、「自分のメンタル的にも安心材料というかやれるなと感じました」。そして落ち着いて臨んだ筑波大戦。ビッグセーブ連発で勝ち点獲得の立役者となった。

 まるで5人目のDFであるかのように、高い位置を取る印象があるものの、意図的なものではないようで「カバーリングの意識も強いですし、ハイボールやクロスボールとかも自分が処理していかないといけないと思っています。できるだけDFラインの負担を減らせるところは減らしてあげたいと思っているので。それがポジショニングに出ているのかもしれません」というとおりだ。仲間の負担を減らしたいという気持ちは、知らず知らずのうちにピッチで表れている。

「初戦から(失点)ゼロでいきたいと言っていて、やっとできた。このまま全ての試合をというのは難しいかもしれないですけど、1試合でも多くの試合をゼロで抑えられるようにというのはチーム全体でやっていきたい」

 “荒鷲たち”を最後尾から見守る砦。ルーキーイヤーからそこへ立ち続ける守護神は仲間のために闘い続ける。

(取材・文 片岡涼)
●第91回関東大学1部L特集

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