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好調京都の欠かせない作戦“FW闘莉王”に葛藤、のぞかせるプライド…「ずっとDFとしてやってきた」

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FWとしての出場が続くDF田中マルクス闘莉王

[5.21 J2第15節 東京V 1-2 京都 味スタ]

 闘将の檄が京都サンガF.C.の逆転劇を呼び込んだ。前半40分の失点の場面。得点者はFWドウグラス・ヴィエイラだったが、直前のプレーがハンドのようにも見えた。これに京都の選手たちは猛抗議。DF田中マルクス闘莉王は副審に詰め寄って異議を唱えた。

 ハーフタイムにベンチ裏へ引き上げる際も怒りを抑えきれずに審判団に説明を求める場面が見られた。しかし精神的支柱でもある闘莉王は、「こういう良くない試合でも勝っていかないといけない。上位に行くことが出来ない」と冷静に対応。イレブンを鼓舞して、後半に向かわせた。結果、京都は後半の2ゴールで見事逆転勝ち。試合後は「これを続けることが大事」と安堵した。

「FWだと思っていないんですよ」。闘莉王が常に語る言葉だ。爆発的な攻撃力を発揮する闘莉王のFW起用だが、本人は違和感を受け入れながらプレーを続けている。「監督が何を考えているかを理解しているつもり。どこで出されても大丈夫」と気丈に振る舞うが、「自分はDFですから。僕はFWだと思っていない」と本音ものぞかせる。この日のスタメン表では、前節までFWの欄にあった闘莉王の名前が、DFの欄に記載されていた。これは闘莉王が希望したものとみられ、「ずっとDFとしてやってきた」というプライドに配慮したものだった。

 ただ8戦不敗と一時の不振を完全に抜け出しつつある京都で“FW闘莉王作戦”を外せないのも事実だ。布部陽功監督も「プレーのセンスを感じている。今はこれを変える必要はないかなと思います」と作戦継続を明言。闘将も「新しいチームに来て何が難しいって、チームメイトの信用を得ること。信用してくれるだけで、チームは良くなっていく。僕はワンピースとして考えている」と自らに言い聞かすように話し、フォアザチームを誓っていた。

(取材・文 児玉幸洋)
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